Research Abstract |
本研究では,チオホルムアミドを鍵出発化合物として,異なる有機金属反応剤の連続付加反応を経由した三級アミン合成法について検討を行っている。たとえば,ピペラジル基を有するチオホルムアミドに対して有機リチウム,有機マグネシウム反応剤を連続で付加させ,対応するアミンを高収率で得ている。この反応では,それぞれの反応剤が二分子組込まれた生成物は観測されない。有機リチウム反応剤として,アルキル,アリールリチウムを,またマグネシウム反応剤としては,アルキル,アリル,アリールさらにビニルGrignard反応剤を用いることができる。またメトキシメチルピロリジル基を有するチオホルムアミドを用いた反応は高い立体選択性を示した。逆のジアステレオマーを導くためには,有機リチウムおよびマグネシウム反応剤に結合した置換基を逆のものを用いる事で達成できた。 またチオホルムアミドにアルキニルリチウムを付加させ,メチル化することでS,N-アセタールを導いた。これをMeOTfでメチル化することで,これまで前例のない1-メチルチオプロパルギルアンモニウム塩を導いた。この塩に対しても様々な有機金属反応剤を作用させた。その結果,有機銅反応剤の付加反応では,アレンを選択的に与えた。一方有機リチウムやリチウムアミドを作用させると,塩のカップリング反応が進行し,SMe基を有するエンジインに変換された。この反応を利用することで,環状エンジインの合成にも成功した。
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