2007 Fiscal Year Annual Research Report
キラル有機塩触媒によるエナンチオ選択的環化反応の開発
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19020021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (40221759)
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Keywords | 有機アンモニウム塩触媒 / 不斉触媒 / Diels-Alder反応 / [2+2]環化反応 / グリーンケミストリー / アミノ酸 / 酸 / 塩基 |
Research Abstract |
環境汚染や金属資源枯渇等の問題から、稀少または毒性が懸念される金属イオンを含まない、環境に配慮した物質生産法が求められている。我々は、グリーンケミストリーや新しい触媒開発の実現に向けて、α-アシロキシアクロレインを用いたDiels-Alder反応や[2+2]環化付加反応について研究を行った。我々は先の研究において、α-置換型アクロレインを有効的に活性化する触媒として、1級アミンとBronsted酸のアンモニウム塩を用いてイミンとして活性化するのがよいことを実証している。また、α-置換型アクロレインのエナンチオ選択的Diels-Alder反応を促進する有機塩触媒として、ジペプチドから誘導したトリアミンのアンモニウム塩触媒がよいことを示している。今回、同様な有機触媒を用いて、三置換アルケンとα-アシロキシアクロレイン間のエナンチオ選択的[2+2]環化付加反応に成功した。得られた4員環付加体を環拡大反応により5員環に誘導することができ、taiwaniaquinol Bに含まれる炭素骨格を高エナンチオ選択的に合成した。さらに、環状α,α-二置換アミノ酸の不斉合成には、アンモニウム塩触媒を用いたα-フタルイミドアクロレインのDiels-Alder反応が有効であることを見つけた。得られた付加体は既知の方法で脱保護を行うことで、環状α,α-二置換α-アミノ酸の不斉合成を高収率で行うことができた。以上、1級アミノ基を活性点とした独自の設計に基づき、α-置換型アクロレインに有効なキラルアンモニウム塩触媒を開発した。今まで合成が困難であったα,α-二置換α-ヒドロキシカルボン酸、ならびにα,α-二置換アミノ酸誘導体の不斉合成にアンモニウム塩触媒が有効であることを見出した。合成したα,α-二置換α-ヒドロキシカルボン酸、ならびにα,α-二置換アミノ酸誘導体は天然物合成の中間体や、創薬におけるリード化合物への展開が期待される。
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