2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井 貴史 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (80271708)
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Keywords | オニウム塩 / 有機触媒 / 炭素-炭素結合形成 / リン(IV) / 有機強塩基 |
Research Abstract |
本研究初年度には、リン酸の窒素誘導体であるトリアミノイミノホスホランの有機塩基触媒としての機能性についてこれまで得られた基礎的知見を基に、立体選択的反応への展開を目指し、まず共役酸である光学活性テトラアミノホスホニウム塩を新たにデザインした。具体的には、L-バリンから比較的容易に得られる光学活性ジアミンからなる[5,5]-スピロ環構造を基本骨格に持つアミノホスホニウムクロリドを設計・合成し、その三次元構造をX線結晶構造解析により確かめた。その結果、塩化物アニオンがアミノホスホニウムカチオンに備わった四つのN-Hプロトンの二つと二重水素結合を介して相互作用できる距離に位置しており、キラルカチオン部位のアニオン認識能が予見できた。実際、それから系内で発生させたキラルなイミノホスホランの触媒作用を直截的ニトロアルドール反応において詳細に検討したところ、卓越した触媒活性と立体制御能が認められた。特筆すべきは、ニトロエタンを求核種とした場合に、高いアンチ選択性が得られることであり、アルデヒドの適用範囲も広い。芳香族アルデヒドとの反応では、置換基の電子的性質にかかわらずほぼ完全な立体選択性が獲得できる。加えて、α,β-不飽和アルデヒド、さらには単純な脂肪族アルデヒドを基質とした場合にも、満足できるアンチ選択性およびエナンチオ選択性で望みのβ-ニトロアルコールが得られることがわかった。本反応は、直截的ニトロアルドール反応において高アンチ選択性とエナンチオ選択性を同時に実現した初めての例である。
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