2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性N4配位子R-BINAN-R'-Pyの開発とその錯体の触媒機能
Project/Area Number |
19020023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
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Keywords | 窒素系配位子 / Ph-BINAN-H-Py / ルテニウム / 不斉水素化 |
Research Abstract |
錯体への触媒機能の附与においてその配位子は中核的役割を担う。私たちはsp2N原子のソフト性と平面性、sp3N原子のハード性と三次元空間特性を特徴とする四座配位子R-BINAN-R'-Py(3,3'-R,R-N2,N2'-ビス(6-R'-ピリジン-2-イルメチル)-1,1'-ビナフチル-2,2'-ジアミン)の開拓をすすめてきた。平成19年度の交付申請書に記載のように、3,3'位への置換基の導入はBINAN化学の鍵を握るものであり、まずその効率的合成法の確立を行った。光学活性体の入手が容易な(R)-BINANを出発原料に、(1)オルトリチオ化、(2)ヨード化条件を最適化した。アニリンの例を参考に、脱着が容易でオルトリチオ化を促進することが知られているt-ブトキシカルボニル(Boc)基をメタル化配向基に取り上げ、選択的オルトリチオ化条件を検討した結果、n-BuLi/t-BuLiを組み合わせることによって、モノリチオ体をほぼ定量的に得られることがわかった。得られたリチオ体を乾燥ヨウ素と反応しモノヨード体へと変換後、鈴木-宮浦カップリング反応により3位にフェニル基を定量的に導入した。この操作を繰り返した後、Boc基を除去し、Ph-BINANをBINANから全収率84%で合成することができた。3,3'位置換基の自由自在修飾に基づく対称・非対称誘導体へと展開し、配位子構造に多様性をもたせることができる。次に、代表標的配位子としてPh-BINAN-H-Pyを取り上げ、その金属錯体の調製を行った。実際に、マンガン、鉄、銅錯体等の結晶を得、そのX線回折実験からいずれもcis-α構造であることを確認した。非環状四座配位子が正八面体錯体を形成する際、cis-α、cis-β、trans等の異性体が可能となるが、ビナフチル骨格3,3'位への置換基の導入と、二つのピリジルメチル部の配位が調和して種が単一化されたと考えている。
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Research Products
(47 results)