2007 Fiscal Year Annual Research Report
不活性炭素-炭素および炭素-水素結合の触媒的活性化による高度分子変換反応の開発
Project/Area Number |
19020029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20211914)
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Keywords | ルテニウム / ロジウム / 触媒 / 炭素-炭素結合切断 / 炭素-水素結合切断 / 高度分子変換 / アルケン / 環境調和型有機合成 |
Research Abstract |
有機工業化学の基幹原料であり、安価な炭素資源であるアルケンの共オリゴメリゼーションは、塩等の副生を伴わず、中性条件下、原子効率100%で進行する理想的な分子変換反応である。本研究では、我々が初めて合成したO価ルテニウム錯体Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2[cot=1,3,5-cyclooctatriene, dmfm = dimethyl fumarate]の触媒的炭素-水素結合活性化能を明らかにし、ルテニウム錯体触媒に特徴的な「異種」アルケンの高位置および立体選択的共オリゴメリゼーションの開発に成功した。 1.炭素-水素結合の触媒的活性化を経る異種アルケンの共二量化および共三量化反応:エナミド類の新合成法 Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2錯体が、電子豊富なN-ビニルアミド類と電子不足なアクリル酸エステル類との高位置および立体選択的共二量化反応に高い触媒活性を示し、対応するエナミド誘導体が高収率で得られることを見出した。さらに、本錯体触媒はアルケンの電子状態を識別可能であり、N-ビニルアセトアミド、アクリル酸エチルおよびエチレンという3種類の異なるアルケンの高位置選択的共三量化反応が可能となった。 2.スチレン類のhead-to-head二量化、およびスチレン類とエチレンとの鎖状共二量化反応 Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2錯体触媒存在下、スチレン類をメシチレン溶媒中、1-オクタノール共存下、80℃で24時間反応させた結果、スチレン類の特異なhead-to-head二量化反応が進行し、対応する(E)-1,4-ジアリール-1-ブテンが高位置および立体選択的に良好な収率で得られることを見出した。本反応には、第一級アルコールの添加が不可欠であり、ヒドリドールテニウム中間体の生成を示唆している。さらに本新規触媒系により、スチレン類とエチレンとの先例のない高位置および立体選択的鎖状共二量化反応の開発に成功した。
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