2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (90213636)
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Keywords | メタロトロピー / カルベン錯体 / アルキン / 共役分子 / 環化異性化反応 / ビスフリルアセチレン / ビスフリルジイン |
Research Abstract |
ホスフィンへのカルベン移動をともなうWittig型反応を利用して、種々のフラン含有π共役分子の触媒的合成を検討した。まず、トリフェニルホスフィンの存在下、2つのカルベン発生部位でチオフェンをはさんだ化合物とベンズアルデヒドとのロジウム触媒(2.5mo1%)による縮合反応を試みたところ、ビスベンジリデンフリルチオフェン(R-FTF-R)が53%の収率で生成した。次に、非対称な分子を合成するためにアセチレン末端のケイ素保護基の異なるビスカルボニル-エン-インを用いて縮合反応を試みたところ非対称R-FTF-R'を得た。それぞれのR-FTF-R'は、FTFに比べて最大吸収波長が長波長側へシフトしており、ベンジリデン基による共役の伸張効果が現れている。また、ドナーアクセプター型R-FTF-R'では140nmに及ぶ大きなストークスシフトが観測された。また、R-FTF-R'の吸収・発光波長ともにターチオフェンより長波長シフトした。一連のR-FTF-R'の理論計算により、R-FTF-R'の分子軌道を明らかにした。中心に3,4-ジブチルチオフェンを配置したR-FTF-R'の構造は、フランとチオフェンがアンチ配座をとり、分子全体として平面構造であることをX線結晶構造解析により明らかにした。また、アルキニルカルベン中間体のメタロトロピーを利用して、ビスフリルアセチレンおよびビスフリルジインを合成し、環化異性化反応の有効性を示すとともに、それぞれの分子軌道のエネルギー順位を分子軌道計算により明らかにした。
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