2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケルにπ配位した炭素-ヘテロ原子二重結合の活性化と小分子への展開
Project/Area Number |
19020033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30252589)
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Keywords | ニッケル / ルイス酸 / カルポニル基 / 炭素-炭素結合 |
Research Abstract |
アルデヒドをニッケル上に配位させることでアルデヒドの反応性を向上させることが可能であるという知見に基づき新たな反応の開発に取り組んだ。ニッケル上にアルデヒドとアルケンが同時に配位した時には、ニッケル上での酸化的環化反応が進行してオキサニッケラサイクルが得られる。この錯体では、アルケンの炭素とアルデヒドの炭素の間に新たな炭素-炭素結合が隼成しておりこの錯体から反応で生じた新たな配位子部分を効率よく解離させることができれば効率のよい結合形成反応へと展開することが可能となる。このような観点のもと、分子内でのβ-水素脱離、続く還元的脱離でのアルケンへのヒドロアシル化反応の構築を目指して研究を展開してきた。当初は、錯体の反応において有効であった種々のホスフィン配位子を用いて反応を検討した。しかしながら、シクロヘキシルホスフィンを用いた際に25%で反応が進行するにとどまり満足のいく結果とはならなかった。そこで、配位子を種々検討した結果N-ヘテロサイクリックカルベンを用いると効率よく反応が進行することが明らかとなった。この反応は、ニッケルを用いての初めてのアルケンのヒドロアシル化反応である。従来の反応はロジウムやコバルトを用いて行われた反応でありここでの問題点はホルミル基からの脱カルボニル反応であった。しかし、本研究課題で見いだした反応は酸化的環化を経由するために脱カルボニル反応が起こる余地がなく新しい型の反応を見いだすことができた。
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Research Products
(11 results)