2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子のキレーションを利用した炭素-水素結合の官能基化
Project/Area Number |
19020036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 直人 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30171953)
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Keywords | フェニルピリジン / ジシラン / ロジウム触媒 / シリル化 / キレーション / 炭素-水素結合活性化 / 炭素-水素結合切断 |
Research Abstract |
フェニルピリジンをジシランとロジウム触媒存在下、反応させるとオルト位の炭素-水素結合が選択的にシリル化されることを見いだした。トルエンでは、全く反応が進行しないことから、窒素の触媒への配位が重要であることがわかる。ジシランでもMe_3SiSiMe_3は効率よく反応したが、PhMe_2SiSiMe_2Ph、t-BuMe_2SiSiMe_2Bu-t、Et_3SiSiEt_3は対応するシリル化生成物を与えなかった。幾つかの配向基を検討したが、ピリジンがもっとも有効であった。今まで炭素-水素結合のシリル化は、ヒドロシランを用いた例が幾つか報告されているが、ほとんどの場合、高い変換効率を達成するためには副性する水素を捕捉するためのオレフィンの共存が必要であった。また、ジシランをシリル化剤とする反応も幾つか知られているが、歪みのあるジシランが必要であったり、光照射が必要であったり、モノシリル化、ジシリル化の制御ができないなどの欠点があった。本反応では、これらの欠点を克服している上に、従来のヒドロシランやジシランを用いる方法では導入困難なMe_3Si基を導入することができる。本反応でもフェニル基が基質の場合、モノシリル化生成物とジシリル化生成物の混合物が生成する。長時間反応を行ったり、ジシランを過剰に用いても、ジシリル化生成物を選択的に得ることはできなかった。しかし、ピリジン環の3位にメチル基を付けるとモノシリル化が選択的に生成した。これは、モノシリル化生成物がさらに反応して2回目の炭素-水素結合が切断される時に、メチル基とシリル基の間の大きな立体障害があるためであると考えている。
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