2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北 泰行 Osaka University, 薬学研究科, 教授 (00028862)
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Keywords | 有機ヨウ素 / 酸化 / 不斉反応 / 反応機構 / 有機触媒 / フェノール / 生物活性物質 / 環境対応 |
Research Abstract |
毒性の高い鉛(IV)、水銀(II)やタリウム(III)などの重金属酸化剤の代替となる3価の超原子価ヨウ素反応剤PhI(OAc)_2 [Phenyliodine diacetate (PIDA)]、PhI(OCOCF_3)_2[phenyliodine bis(trifluoroacetate)(PIFA)]は特に有機合成上有用であり、その用途を更に広げる改良型反応剤や新型反応剤の開発は意義深い。本研究ではこれまでに効果的な例が全くない超原子価ヨウ素反応剤を用いる不斉反応の開発に挑戦する。本年度はそのために必要な基盤反応の開発、新規キラル反応剤の設計とその一般合成法について、およびこれらを用いるフェノール類のモデル酸化反応の検討を行った。 1. 骨格自身にキラリティーを有し、反応を通じてヨウ素周りの不斉環境が保持される剛直なスピロビインダン骨格を持つ新しいキラル有機ヨウ素反応剤を設計した。3価のジアセタート型化合物を初めとし、活性ヨウ素部位が効果的に導入された架橋型アセタート化合物および他の強酸誘導体等の一群の類縁化合物の合成を完了した。また、不斉アリール化剤として有望なヨードニウム塩型化合物の合成に成功した。 2. 合成したキラル反応剤の評価系として、フェノール類の分子内オルト位スピロ閉環反応を設計した。PIDAやPIFAを用いるモデル反応で、有機ヨウ素の競争的脱離機構に基づくスピロ化合物の一般合成法に成功した。
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