2007 Fiscal Year Annual Research Report
レニウム触媒によるC-H結合活性化を基盤とする高度分子変換
Project/Area Number |
19020045
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Keywords | レニウム / マンガン / C-H結合活性化 / ヘテロ芳香環 / ナフタレン / イソベンゾフラン / Grignard型付加反応 |
Research Abstract |
レニウム錯体を触媒として用いることにより、従来よく使われてきたルテニウムやロジウム錯体では難しかった、分極した不飽和結合のC-H結合への挿入反応やC-H結合の活性化を経由する環状化合物の合成が行なえる。このレニウム触媒の可能性を探るべくさらに反応を検討した。また、レニウムと同族のマンガンの錯体も調べた。その結果、下記の3つの反応を見いだした。 (1)ヘテロ芳香族のC-H結合活性化によるアミド基の導入ニレニウム触媒を用いると、芳香族イミンのオルト位にイソシアナートを挿入させることができ、さらに分子内環化が進行するため、フタルイミジンが生成するが、この反応をイミン基を有するヘテロ芳香環において検討したところ、同様にアミド官能基がイミンの隣の位置に導入できることがわかった。 (2)レニウムによるC-H結合活性化とア〜レデヒドの挿入を利用するナフタレンの合成:芳香族ケチミンのC-H結合活性化のあと、アルデヒドと反応させると、カ々ボニル基がC-H結合に挿入し、さらに、分子内環化、アニリンの脱離を経て、イソベンゾフラン誘導体が生成する。このイソベンゾフランはDiels-Alder反応のよいジエン成分であり、分子内Diels-Alder反応と引き続く酸処理により、ナフタレン誘導体に導いた。 (3)マンガン触媒によるC-H結合活性化とアルデヒドの挿入:レニウムと同族のマンガン触媒MnBr(CO)_5にもC-H結合活性化の作用があることを見いだした。さらにヒドロシラン共存下に反応を行なうと、芳香族シリルエーテルの形で捕捉できることを見いだした。マンガンはレニウムに比べて豊富な元素であり価格も安いため、さらなる発展が期待できる。
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