2008 Fiscal Year Annual Research Report
レニウム触媒によるC-H結合活性化を基盤とする高度分子変換
Project/Area Number |
19020045
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Keywords | レニウム / マンガン / 炭素-水素結合活性化 / インデン / シクロペンタジエン / ヒダントイン |
Research Abstract |
C-H結合活性化を基盤とする触媒による分子変換反応は、反応効率が高く、重要な有機合成の手法である。分極した不飽和結合のC-H結合への挿入反応や引き続く分子内求核的な環化反応は、ルテニウムやロジウム錯体では難しいが、レニウム錯体を触媒として用いると行なえることを見いだしている。今年度は、レニウム触媒による芳香族のC-H結合へのα, β-不飽和結合の挿入反応におけるメカニズムの解明と、レニウムと同族のマンガンの錯体の触媒としての可能性を探ることを目的に研究した。その結果、下記の結果を得た。 (1) 重水素化実験の結果などより、C-H結合活性化を経由していること、活性化により生じたC-Re結合にアクリル酸エステルが挿入すること、挿入後の中間体からの還元的脱離やβ-水素脱離がおこらず、環化反応が進行することが明らかになった。 (2) レニウム触媒Re_2(CO)_10を用いると、芳香族C-H結合だけでなく、オレフィン性C-H結合も活性化されること、α, β-不飽和エステルの挿入反応によりシクロペンタジエンが生じること、そのジエンと錯体との反応でレニウムーシクロペンタジエン錯体がOne-Potで合成できることなどを見いだした。 (3) レニウム錯体Re_2(CO)_10を触媒として用い、末端アルキンとピロリジノンをトルエン溶媒中で過熱したところ、アルキンにanti-Markovnikov型にアミドが付加し、E体の二置換エナミンのみが生成することを見いだした。 (4) マンガン触媒MnBr(CO)_5存在下、ジオキサン中、アセチレンとイソシアナートを150℃で24時間撹拌したところ、ヒダントイン誘導体が得られることも見いだした。
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Research Products
(15 results)