2007 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコノセン錯体を用いる高効率かつ高選択的拡張π電子系の創出
Project/Area Number |
19020047
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西原 康師 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20282858)
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Keywords | ジルコノセン錯体 / 炭素-炭素結合形成反応 / 有機ホウ素化合物 / 選択的有機合成 / 多置換オレフィン合成 / タモキシフェン / 医薬品開発 / 機能性分子 |
Research Abstract |
これまでに,低原子価のジルコノセン-エチレン錯体とアルキンの酸化的カップリング反応により,ジ ルコナシクロペンテンが効率よく生成することが知られている。しかしながら,基質として似通った置換基を有する非対称な内部アルキンを用いると,位置異性体の混合物を与える。この結果は,ジルコナシクロペンテン形成時に位置選択性が制御されていないことを示している。そこで,非対称アルキンとしてアルキニルホウ素化合物を用いることにより,位置選択的にジルコナシクロペンテンが形成されることを期待して研究に着手した。ジルコノセンジクロリドとn-ブチルリチウムから調製したジルコノセン-1-ブテン錯体に対し,エチレンガスを導入するとジルコナシクロペンタンが生成することが知られている。この錯体とアルキニルボロン酸ピナコールエステルと反応させることにより,位置選択的にジルコニウムのα位にホウ素官能基が結合している ジルコナシタロペンテンが生成することを明らかにした。さらに,等モル量の2-プロパノールを作用させ,化学選択的にジルコナシクロペンテンのジルコニウム-sp3炭素結合をプロトン化することにより生成したアルケニルジルコニウム種に対し,交差カップリング反応をおこない,様々な含ホウ素四置換オレフィンを合成した。最後に,この含ホウ素四置換オレフィンとN-[2-(4-ヨードフェノキシ)エチル]-N,N-ジメチルアミンを用いて,鈴木-宮浦カップリング反応をおこなうことにより,(Z)-夕モキシフェンを収率70%で合成することに成功した。
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