2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコノセン錯体を用いる高効率かつ高選択的拡張π電子系の創出
Project/Area Number |
19020047
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西原 康師 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20282858)
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Keywords | ジルコノセン錯体 / 炭素-炭素結合形成反応 / 有機ケイ素素化合物 / 選択的有機合成 / 多置換オレフィン合成 / アルケニルシラン / 医薬品開発 / 機能性分子 |
Research Abstract |
これまでに低原子価のジルコノセンーエチレン錯体とアルキンの酸化的カップリングにより, ジルコナシクロペンテンが効率よく生成することが広く知られている。また, 以前われわれの研究室では, アリール基で置換されたアルキニルホウ素化合物にジルコノセン(II)錯体を作用させることにより, 高選択的にジルコナシクロペンテンが形成されることを報告している。さらに, そのジルコナシクロペンテンに対して逐次的に炭素-炭素結合を伸長することにより位置および立体選択的な多置換オレフィンの合成を達成した。 本論文では, 有機ホウ素化合物との比較をおこなうため, 有機ケイ素化合物に着目した。具体的には, 化学量論量の低原子価ジルコノセン錯体と基質としてアリール基で置換されたアルキニルシランを用い, ケイ素の特長を利用した高選択的な炭素-炭素結合形成反応を達成した。その結果, 様々な多置換アルケニルシランを合成することに成功した。 この反応では, 高選択的にジルコナシクロプロペンが生成することが鍵となっている。生成したジルコナシクロプロペンを加水分解することにより, (Z)-アルケニルシランを高収率で得た。また, ジルコナシクロプロペンに対して, 位置選択的な炭素-炭素結合形成をおこなうことにより, アリル基やエステル基などの官能基を導入することにも成功した。さらに, 同一反応容器内で生成したアルケニルジルコノセン錯体に対してアリール基やアルキル基の導入をおこなうことにより, 三置換および四置換アルケニルシランを高位置および立体選択的に合成することに成功した。
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