2007 Fiscal Year Annual Research Report
多機能反応試剤の開発-有機ストロンチウムの調製と反応-
Project/Area Number |
19020049
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 徳和 The University of Tokushima, 総合科学部, 教授 (40219829)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / ストロンチウム / Barbier型反応 / モノアルキル化 / p-アルキル化反応 |
Research Abstract |
金属ストロンチウムを用いた有機合成手法の開発は殆ど行われておらず、少ない報告例も同族元素であるカルシウムやバリウムとの比較検討が殆どであった。そこで、本研究室では種々検討を行った結果、ストロンチウムとヨウ化アルキルを一度に作用させることにより、Barbier型のアルデヒド、イミンのアルキル化、さらに、エステルのジアルキル化も円滑に進行する事を見いだした。そこで今度は基質にカルボン酸を用いて検討を行った。その結果、比較的低濃度で反応を行うことにより、カルボキシル基への付加反応が選択的に進行する条件を見いだした。この場合は、エステル基への付加反応とは異なり、主生成物としてモノアルキル化であるメチルケトン体を比較的良好な選択性で得ることが出来た。Weinreb'sアミドや2-ピリジンチオエステル等のカルボン酸誘導体を用いてのモノアルキル化は種々検討されているが、カルボン酸そのものを用いる反応は多くなく、有機合成反応として注目できるものと考えられる。更に、カルボン酸をナトリウム塩とすることで、ジアルキル化の生成をほとんど抑え、選択的にメチルケトンを得られることも見いだした。また、上記の検討の途中に非常に興味深い結果が得られた。芳香族カルボン酸である安息香酸を基質として用いた場合は、主生成物としてモノアルキル化体であるケトン体が得られ、副生成物としてベンゼン環のp-位にアルキル基が付加した生成物が痕跡量得られた。p-位に選択的に置換基を導入する方法は殆ど報告されておらず、また第1級アルキル基がp-位へ容易に導入されることは非常に興味深い。そこで更なる発展を目指し、種々検討を行った。その結果、ヨウ化アルキルの添加方法を変えた場合に於いて大幅に収率が向上し、しかも1級、2級、3級いずれのヨウ化アルキルを用いても反応は円滑に進行する事を見いだした。
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Research Products
(4 results)