2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020052
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (40226345)
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Keywords | イノラート / ピロール / ワンポット合成 / 複素環 / 有機合成 |
Research Abstract |
1.イノラートの改良合成法の開発 申請者が既に開発している二臭素化エステルを原料とするイノラートの生成法を改良し、無置換のエステルを原料とした改良簡便合成法の開発を検討した。原料エステルに種々の強塩基を作用させる連続脱離法を試みた。その結果、エステルの求電子性を立体障害により抑制するとともに、脱離基の酸性度を上げて脱離性を向上させた2,6-ジ-tert-ブチルフェニルエステルを基質に-78度冷却下ブチルリチウムを2当量加えることで、イノラートを60%ほどの収率で得ることに成功した。本法は非臭素化エステルから直接的にイノラートが生成できる上に、副生成物が求核性や塩基性の低い2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシドである点で優れている。 2.多置換ピロールの効率合成 イノラートを開始剤とする多置換ピロールの合成を検討した。基質としてα-アシルアミノケトンを種々検討したところ、窒素上の置換基をベンジル、パラメトキシフェニル、アリルなどとした場合、イノラートはこれら基質と反応し、ピロールを与えることを見出した。フランの合成の場合と異なり、中間体である縮合β-ラクトンを単離することなく、また酸処理も要せず、一気にピロールが生成することを見出した。反応温度と時間を詳細に検討したところ-20度から室温付近で最も効率よく反応が進行することがわかった。-78度という低温に冷却する必要はない。本反応機構を精査するために、赤外吸収スペクトルで反応をモニタリングしたところ、中間体にカルボキシラートの吸収が観測されたことから、系内に共存する塩基によってβ-脱離が進行しβ-ラクトンが開環し、後処理の段階で脱炭酸及び脱水反応が進行したと考えられる。本合成反応はフラスコの中で6工程が一気に進行する連続反応である。非対称多置換ピロールのワンポット合成の例は少なく、本法は医薬品等の合成に有用である。
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