2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機オキシドを触媒とした直接的アルドール関連反応の開発
Project/Area Number |
19020056
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50207792)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 不斉合成 / アルドール反応 / シリルエノールエーテル / ホスフィンオキシド |
Research Abstract |
アルドール反応は、2つのカルボニル化合物からβ-ヒドロキシカルボニル化合物を合成する、最も基本的かつ重要な炭素-炭素結合形成反応の一つであり、有用生物活性物質の全合成の鍵反応としても頻繁に用いられる。不斉アルドール反応は一般に、エノラート等価体を用いる手法が一般的であるが、本研究では、エノラート等価体を利用しない、すなわち、2つのカルボニル化合物からの直接的不斉アルドール反応の新しい手法を開拓することを目的としている。 1 キラルなN-オキシドやホスフィンオキシドなどの有機オキシド化合物が、トリクロロシリルエノールエーテルの不斉アルドール反応の有機触媒として有用であることを見出した。本反応は6員環椅子型遷移状態を経由するため、E-体からはanti-体が、Z-体からはsyn-体が立体特異的に得られる。本法を用いれば、連続する2つの不斉中心を高度に制御することが可能である。例えば、シクロヘキサノンから誘導したトリクロロシリルエノールエーテルとニトロベンズアルデヒドの反応では、高ジアステレオかつ高エナンチオ選択的にanti-付加体が高収率で得られた。 2 カルボニル化合物から系内で調製したトリクロロシリルエノールエーテルがそのまま有機オキシド化合物により活性化されてアルデヒドと反応すれば、直接的アルドール反応が実現できると考え、種々の反応条件をスクリーニングしたところ、ニトリル系溶媒を用いると、収率良くトリクロロシリルエノールエーテルが生成することを見出した。さらに、ホスフィンオキシド及びアミン存在下、それがアルデヒドと反応してアルドール付加体を与えることを見出した。そこで、BINAPOを不斉触媒としてシクロヘキサノンとベンズアルデヒドの直接的不斉アルドール反応を試みたところ、高い化学収率、高い立体選択性で目的物が得られることが分かった。
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Research Products
(5 results)