2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機オキシドを触媒とした直接的アルドール関連反応の開発
Project/Area Number |
19020056
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50207792)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 不斉合成 / アルドール反応 / シリルエノールエーテル / ホスフィンオキシド |
Research Abstract |
アルドール反応は、2つのカルボニル化合物からβ-ヒドロキシカルボニル化合物を合成する、最も基本的かつ重要な炭素-炭素結合形成反応の一つであり、有用生物活性物質の全合成の鍵反応としても頻繁に用いられる。不斉アルドール反応は一般に、エノラート等価体を用いる手法が一般的であるが、本研究では、エノラート等価体を利用しない、すなわち、2つのカルボニル化合物からの直接的不斉アルドール反応の新しい手法を開拓することを目的としている。 1 カルボニル化合物から系内で調製したトリクロロシリルエノールエーテルがそのまま有機オキシド化合物により活性化されてアルデヒドと反応し、直接的アルドール反応が実現した。キラルなホスフィンオキシドBINAPOを不斉触媒としてシクロヘキサノンとベンズアルデヒドの直接的不斉アルドール反応を試みたところ、高い化学収率、高い立体選択性で目的物が得られることが分かった。また、本反応を、従来法では制御が困難であった2つのアルデヒド間の不斉アルドール反応にも拡張できた。 2 トリクロロシランによるエノンの還元を用いて系内で調製したトリクロロシリルエノールエーテルがBINAPOにより活性化されてアルデヒドと反応することにより、高収率かつ高立体選択的に還元的不斉アルドール反応が進行することが分かった。 3 トリクロロシリルエノールエーテルより安定で取り扱いが容易なトリメトキシシリルエノールエーテルを用いることにより、従来困難であった、アルドール反応による第四級不斉炭素の構築に成功した。
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