2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子内光環化付加反応を用いるベンゾトリキナン骨格の一段階構築法
Project/Area Number |
19020060
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (10109879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (30211717)
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (40295720)
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Keywords | 光反応 / 光環化付加反応 / 多環式化合物 / ナフタレン / ベンソトリキナン / アンギュラ型トリキナン / スピロ化合物 / トリシクロ化合物 |
Research Abstract |
ナフタレン環へのアルケンの分子内光環化付加反応をキーステップとするベンソトリキナン類および関連する多環式化合物の合成を目的とし,4位にアルケニル基またはオキサアルケニル基をもつ1-シアノナフタレン誘導体の光環化付加反応に関する研究を行ない,以下の知見を得た。 (1)4位に5-メチルー4-ヘキセニル基をもつ1-シアノナフタレン誘導体のアセトニトリル溶液に高圧水銀灯,パイレックス製反応容器を用いて280 nm以上の光を照射した後,水を含むアセトニトリルで処理したところ,スピロ環骨格をもつ化合物がsyn体とanti体の混合物として高収率で得られた。重水素化合物を用いた実験と分光学的な実験結果より,スピロ化合物は分子内エキシプレックスを経由して生成した双性イオン中間体からの分子内プロトン移動によって生じ,水が塩基として働き二重結合が異性化するものと推定した。 (2)アルケニル基の末端にフェニル基を導入した化合物のアセトニトリル溶液に同様の条件下光照射したところ,トリシクロ[6.3.0.0^<1,4>]ウンデカー2,5-ジェン骨格をもつ化合物が主生成物として,単一の立体異性体のみが生成した。この反応では,フェニル基とナフタレン環のπ-π^*相互作用によって優先される分子内エキシプレックスから,4,4a位での[2+2]光環化付加,熱的な6π系の開環と光による4π系の再閉環を経てトリシクロ化合物が生成するものと推定した。 (3)アルケン部位を環状にした化合物のアセトニトリル溶液に光照射すると,[3+2]光環化付加が効率よく進行し,アッギュラ型トリおよびテトラキナン骨格をもつ化合物が高収率かつ高い立体選択性で生成した。
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Research Products
(4 results)