2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020064
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 徹 Keio University, 理工学部, 教授 (40296752)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
昨年度の公募研究において、光学活性ケトイミナトコバルト(II)錯体触媒を用いると、ラセミ体の工ポキシドに対する速度論的光学分割を伴う二酸化炭素固定化反応が効率良く進行することを報告した。今年度の公募研究では、二酸化炭素を反応剤とする合成反応の新たな展開として、プロパルギルアルコールヘの二酸化炭素固定化反応を試みた。プロパルギルアルコールと二酸化炭素から環状炭酸エステルが生成する反応のメカニズムは、塩基により活性化されたアルコールが二酸化炭素と反応し、炭酸エステル中間体を経由してアルキンのα炭素に対する分子内閉環反応により目的物に至るものと想定される。この作業仮説より、まずアルキンを活性化する金属の探索を行った。検討の結果、塩基としてDBU共存下、触媒として銀塩を用いた場合に反応が速やかに進行し、対応する環状炭酸エステルがほぼ定量的に得られた。本反応において反応条件を変えると副生成物が生成する場合があり、その構造を確認したところ、対応するA,B-不飽和ケトンであることがわかった。α,β-不飽和ケトンは同様の中間体からアルキンのβ炭素への転位反応を経由して得られると考えられ、同位体標識をした二酸化炭素C^<18>O_2を用いる実験の結果から、二酸化炭素が反応に関与していることを確認した。反応条件を検討したところ、生成物の選択性は反応溶媒によって大きく変化し、非プロトン性極性溶媒を用いた場合に対応するA,B-不飽和ケトンが選択的かつ高収率で得られることがわかった。このように適切な反応溶媒と塩基を用いることにより、幅広い基質において温和な条件で反応が進行し、高収率でα,β-不飽和ケトンが得られることを見出した。
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