2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19020064
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 徹 Keio University, 理工学部, 教授 (40296752)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
本反応では銀触媒はアルキンをπルイス酸として活性化し, トランス付加で分子内環化が進行する反応機構が予想される。そこでDFT計算による反応機構解析を試みた。まず, アルコール性水酸基は塩基の存在下, 二酸化炭素を取り込んでカーボナートアニオンを形成する。解析モデルに共存させる様々な塩基の関与を検討した結果, DBUと同様にプロトン受容後に電荷の非局在化が期待できる塩基をモデル化合物とした場合に, カーボナートアニオンのトランス位に銀カチオンが配位し, Z-オレフィンの生成を説明する合理的な5員環遷移状態構造が得られた。また, このモデル系か照は分子内転位を経由するエノンの生成経路である6員環遷移状態も得られた。 次に銀塩触媒に適切な光学活性配位子を作用させるとエナンチオ選択的反応への発展が期待されると考えた。モデル化合物としてビスプロパルギルアルコールを用いて, いずれかのアルキンを識別して活性化することが可能であれば,すなわち非対称化により対応する環状カーボナートが光学活性体として得られる。光学活性配位子に関して詳細に検討した結果, リン系配位子よりも窒素系配位子が有効であることがわかった。特に, 2-ピリジンカルボアルデヒドと光学活性1, 2-ジアミノシクロヘキサンから調製されるSchiff塩基配位子が効果的であることがわかった。銀塩の対アニオンについても調べた結果, 酢酸銀が最適であり, これらを組み合わせた触媒系を用いて, 非対称化によるエナンチオ選択的二酸化炭素固定化反応を行ったところ, 良好な光学純度の環状カーボナート誘導体が高収率で得られることが明らかになった。
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