2007 Fiscal Year Annual Research Report
活性点構造の精密制御による高原子効率的な選択酸化反応系の開発
Project/Area Number |
19020066
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
引地 史郎 Kanagawa University, 工学部, 教授 (10282857)
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Keywords | 酸化触媒 / 過酸化水素 / ポリオキソメタレート / 酸化酵素 / キレート配位子 |
Research Abstract |
無機酸化物クラスターであるポリオキソメタレートは高い負電荷を持つことから、カチオン種との静電的相互作用に基づいた固体担体への固定化や固体触媒化が検討されている。本研究では、液相均一系において過酸化水素を酸化剤とするオレフィンエポキシ化反応に特異な反応性を示す、複核バナジウム中心を触媒活性点とするγ-Keggin型バナジウム置換ポリオキソタングステート[SiV_2W_10O_38(OH)_2]^<4->の対カチオンとしてNi(II)錯体[Ni(tacn)_2]^<2+>(tacn=1,4,7-triazacyclononane)を用いることで生成する不溶性微粒子が、液相均一系の場合と同様な反応選択性を示す固体触媒として機能することを明らかにした。一方Co(III)錯体[Co(tacn)_2]^<3+>を用いた場合に得られる微粒子は、ポリオキソメタレートからプロトンが脱離してしまうために酸化活性を示さないことが明らかとなった。 さらに酵素反応と同様な温和な条件での有機基質の触媒的酸化反応の達成を目指し、酵素の活性点に倣った新規触媒の開発を検討した。2個のイミダゾリル基を持つボレート化合物を出発物質としてこれにチオエーテルリチウム化物を反応させることにより、飽和炭化水素への酸素添加反応を触媒する酵素の触媒活性点構造を再現することの出来るN2Sドナーセットからなる三脚型アニオン性三座キレート配位子の合成に成功した。またチオエーテル基を有するボラン化合物にリチオ化イミダゾールを反応させるととによりNSドナーセットからなる二座キレート配位子の合成に成功した。
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