2008 Fiscal Year Annual Research Report
相互相関分光法を利用した細胞内分子間相互作用の解析
Project/Area Number |
19021001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金城 政孝 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (70177971)
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Keywords | 生物物理 / 分子認識 / 分子機械 / 蛍光測定 / ゆらぎ / 単1細胞 / 拡散 / 拡散定数 |
Research Abstract |
単1細胞機能の時間的・空間的な情報を得るためにはイメージングの手法が重要であるが、細胞内を早い速度で「離合集散」しながら複合体形成を行い細胞機能を支えている分子を捉えるために申請者は蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy ; FCS)に着目した。なぜならFCSは動きの速い分子の相互作用検出に適し、しかも1分子レベルまでも検出が可能だからである。しかし一方で単1細胞内の分子間相互作用や、分子数の変化は細胞内の測定場所での違いが大きく反映されるために、正しい評価を行うためには多数の点で同時にFCS測定を行い、空間情報として分子の「動き」や「結合」の情報を得る必要がある。これらの点を克服するために、多点同時測定のFCSが有効であると考えた。まず全反射光学系と斜光光学系を検討し,励起光強度が安定に維持できることなどから本研究においては,最終的に全反射光学系を採用した。次に,細胞中の多点として4点でFCS測定を同時に行うことができる測定システムの開発を行ない、細胞内分子間相互作用の統合的理解を目的とした。当初計画していた単1細胞内4点ではなく, 検出部としての光ファイバーの設置の安定性から7点測定とし, 装置を完成させた。さらに, 膜結合性GFPの構築と細胞内発現を行い, 実際に単1生細胞中におけるタンパク質の7点同時に蛍光強度変化,ならびそこからのFCS測定が可能であることを実証した。7点からの情報のすべての組み合わせである21通りが可能であるが, その中で数点の空間相互相関解析を試みた。また, 膜結合タンパク質としてNaポンプタンパク質等の測定を行った。その結果,複合体を形成することで確実に拡散速度が低下することを明らかにした。今後の研究の方向性として, 直接相互作用の検出,細胞内の任意の空間での検出などの必要性が明らかになった。現在, 各点の時間相互相関解析が可能とするために, 各測定点にダイクロイックミラーの設置を行い, 直接相互作用の解析を試みている。
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