2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の高次デジタル計測を実現する光機能性プローブの開発とその応用
Project/Area Number |
19021010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (20292956)
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Keywords | 蛍光プローブ / ローダミン / 光誘起電子移動 / 活性酸素種 / 次亜塩素酸 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 分子内閉環 |
Research Abstract |
Rhodamine類は光褪色に強く、生細胞の連続観測に適した蛍光色素である。私は本特定領域研究において、Rhodamine類のカルボン酸をメルカプトメチル基に置換した誘導体は、分子内閉環構造が優先して無色・無蛍光の物質として水中で存在することを見いだした。本知見は、全く新たな蛍光プローブ設計概念として極めて有効であり、実際このSH基は次亜塩素酸と特異的に反応し、開環構造へと変化して強い蛍光を発することが明らかとなった。さらに本プローブを好中球に負荷することで、貪食時における次亜塩素酸生成をリアルタイムかつ高感度に検出できることも示された。 一方でRhodamine類は、細胞内オルガネラの1つであるミトコンドリアに集積することが知られている。そこでRhodamineを蛍光骨格とし、hROS選択的な反応としてp-アミノフェノキシエーテルの脱アリル化反応を採用し、分子内光誘起電子移動(PeT)によりRhodamine蛍光を消光させた蛍光プローブを開発した。Rhodamine骨格自身にはエーテル結合を導入可能な部位は存在しないが、上部ベンゼン環部位の2位にヒドロキシメチル基を導入することで、効率の良い蛍光のPeT制御を実現した。完成したプローブはOHラジカルやパーオキシナイトライトなどのhROSと選択的に反応してその蛍光が大きく増大すること、また生細胞に導入するとミトコンドリアに集積し、外部から過酸化水素を付加することでミトコンドリアに惹起される酸化ストレスを高選択的に検出可能であることが明らかとなった。さらにこのミトコンドリアに対する酸化ストレスの大きさは、用いる生細胞の種類によって大きく変化することが見いだされた。 本年度開発に成功した上記の2つのプローブは、活性酸素種の生体内機能を明らかにするための全く新たな強力なツールであり、当該分野の進展に大きく寄与するものである。
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Research Products
(26 results)