2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19021014
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斉藤 美佳子 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (20291346)
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Keywords | 多層化筋線維 / ES細胞 / 細胞間連絡 |
Research Abstract |
心筋は心臓のみに、骨格筋は筋肉に見られる筋線維が網状につながった筋組織である。心臓および骨格筋の発生過程において、筋線維に分化した後ギャップ結合を形成することで、細胞間のネットワークを形成し、最終的に筋組織として同期した拍動を行うと考えられる。発生学的にそのメカニズムの解析は重要であるが、その解析手法がなかった。そこで本研究において、ES細胞から筋線維を分化誘導し、その過程において、筋組織中の単一細胞に、マイクロインジェクション法により種々の物質を導入することで細胞間ネットワーク形成におけるギャップ結合の役割を解析することを究極の目的としている。 昨年度までに、マイクロインジェクションに用いるキャピラリーの最適設計、多層化筋線維の拍動パターンを拍動数、拍動の強さに着目して解析した。また、単一筋線維前駆様細胞へEGFP遺伝子を導入し、その後の成長を解析した。そこで、本年度は、単一の筋線維細胞へ種々の物質を導入しギャップ結合を解析することとした。具体的には、拍動が同期している組織中の単一細胞に対して、単一細胞操作支援ロボットを用い、低分子蛍光色素を導入することにより、蛍光を発するエリアと拍動エリアの関係を解析した。その結果、低分子色素の拡散を確認することができた。そこで、種々の大きさの蛍光分子を単一細胞へ導入し、その色素の広がりを解析したところ、デキストランのような高分子(M.W.3.000)の場合では、導入した部位にとどまり色素の拡散は生じなかった。一方、分子量が643のアレクサ488の場合では、色素が広範囲に拡散していく様子が確認された。 しかし、拡散の状態は必ずしも一様ではなかったことから、低分子な色素が拡散可能な穴は、常に開いているあるいは閉じている状態というわけではなく、その時の細胞の状態に応じて開いたり閉じたりしているのではないか、と考えられた。
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