2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形フォトニクスを用いた細胞内局在性代謝産物の取得と動態解析
Project/Area Number |
19021030
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
梶山 慎一郎 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (20243496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 格 大阪府母子センター, 研究所, 研究員 (60314415)
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Keywords | 非線形光学顕微鏡 / 細胞凝集性タンパク質 / 分子間相互作用 / 可視化 / 毒性発現機構 |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞毒性を有する細菌由来アミロイド様凝集性タンパク質(TDH)の細胞内での作用機作の解明を題材に、申請者が有する非線形光学を用いた可視化技術を利用して、当該分野に新知見をもたらすことを目的としている。TDHは、別の相互作用因子と協調することによって凝集体の形成や毒性の発現を行っていると考えられるが、一部ガングリオシドとの相互作用が報告されているものの、相互作用因子に関する知見は極めて少ない。そこで、今回ガラス板上に人工細胞膜を調製し、TDHを作用させた後、顕微鏡観察することによってその作用を解析することを試みた。まず、ガングリオシドGT1bとTDHの相互作用を確認するため、ガラス板上にベシクル融合法によって脂質膜を作製し、TDHを添加してその集積を観察した。しかしながら、ホスファチジルコリン(以下PC)にGT1bの濃度を変えて混合した膜(モル比で0〜5%)において、明らかな集積は観察されなかった。次に、蛍光標識PC、コレステロール、GT1bにて作成した脂質膜の崩壊過程について、観察を行ったところ、膜は狭小化、線上の形状変化を起こし、GT1bの濃度及びTDH濃度に依存性が確認された。さらに脂質膜内部に蛍光色素を封入し同様の実験を試みた。その結果、TDH添加によりFITC(分子量389)では蛍光色素の漏出を確認することができたが、カルセイン(分子量622)では確認できなかった。これらの結果から、1)膜の崩壊には、GT1bの脂質膜に肉ける比率が重要であること。2)脂質膜内部に存在する物質のサイズによって漏出の有無があることが示された。これらのことは、従来型の孔形成性毒素のメカニズムでは説明できず、TDHの脂質膜傷害は、これとは異なるメカニズムを有している可能性を示唆するものである。
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Research Products
(5 results)