2007 Fiscal Year Annual Research Report
代謝動態を解明するためのメタボローム解析技術の開発
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19021042
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
曽我 朋義 Keio University, 環境情報学部, 教授 (60338217)
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Keywords | メタボローム / メタボロミクス / ヌクレオチド / キャピラリー電気泳動-質量分析計 / シラノール / リン酸 / 大腸菌 / アイソザイム |
Research Abstract |
研究代表者らは、三種類(陽イオン、陰イオン、ヌクレオチド類)のキャピラリー電気泳動-質量分析計 (CE-MS)によるメタボローム測定法を世界に先駆けて開発し、細胞や組織から千以上の代謝物質の一斉分析を可能にした。しかし、最近、ヌクレオチド類の測定条件は、1)電流が安定しない2)検出時間が変動する、3)キャビラリーが折れやすい等の問題が発生した。 そこでヌクレオチド測定条件の再開発を行った。通常のフューズドシリカキャラリーを用いてAMP、ADP、ATPを測定したところ、酢酸アンモニウムやホウ酸アンモニウムを泳動バッァに用いるとADP、ATPのピーク形状が著しく劣化したり、ATPが検出されなかった。しかしリン酸アンモニウムの場合は、AMP、ADP、ATPとも良好なピーク形状で検出された。フューズドシリカの表面シラノールはリン酸基を水素結合によって吸着することが知られている。したがって、リン酸基を多く持ってるADP、ATPはシラノールと吸着したのであろう。一方、リン酸アンモニウムでは、バッファ中のリン酸基がシラノールを被覆し、ADP、ATPの吸着を抑えたと推測される。 しかし、リン酸バッファは不揮発性であるため、CE-MSに用いることができない.そこで、分析毎にあらかじめリン酸を含んだ酢酸バッファでキャピラリーを洗浄してシラノールをマスキングした後、酢酸バッファを用いて分析することで、ヌクレオチド類、CoA類を高感度(30 finol)に安定し測定することが可能になった。大腸菌抽出物に20種類のヌクレオチド類、CoA類の標準物質を添加して回収率試験を行ったところ、全ての物質の回収率は90%以上と良好であった。開発したCE-MSによるヌクレオチド測定法を用いて、大腸菌のアイソザイム(pfkA、dpfkB)の欠損株のメタボロームを測定し、結果を比較したところ、pfkA欠損株は多くの代謝物の濃度が減少した。したがってpfkAの方がメジャーに発現している遺伝子であることが推測された。
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Research Products
(27 results)