2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋細胞分化における単一細胞からの分化シグナル伝達の解析
Project/Area Number |
19021048
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, セルエンジニアリング研究部門, 主任研究員 (40357661)
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Keywords | 細胞操作 / 分化誘導 / 遺伝子導入 / AFM / シグナル伝達 |
Research Abstract |
5-アザシチジンによりマウス繊維芽細胞(C3H10T1/2)を骨格筋細胞に分化誘導し,分化誘導過程に分泌されたIGF-IIが細胞表面の受容体に結合した状態で抗IGF-II抗体修飾AFM探針を細胞に接触させ,強制的に受容体/リガンド/抗体の複合体を形成させる。これを引き離す際に発生する相互作用破壊に要する力(unbinding force)を測定した。C3H10T1/2は培養3日後に20μM5ーアザシチジンで2日間処理した後,通常の培地で2日間培養し,20nMのジヒドロテストステロンで処理した。抗IGF-H抗体修飾AFM探針を用いて力学検出を行った結果,5-アザシチジン処理前の平均unbinding forceは40pN以下であった。処理1日目(培養4日目)は119pN,2日目は218pNに上昇した。その後,通常の培地で培養2日目(培養7日目)は112pN,ジヒドロテストステロン処理2日目は50pNになった。処理していない細胞は40pN以下であった。この結果は骨格筋分化誘導過程におけるC3H10T1/2のIGF-II受容体の発現とIGF-IIの分泌がほぼ同時に上昇し,減少することを示している。骨格筋分化過程におけるIGF-II受容体の免疫染色を行った結果,5-アザシチジン処理した細胞の場合,処理1日目まで蛍光が観察されなかった。それに対して,5-アザシチジン処理2日目にIGF-II受容体が観察され,その平均蛍光強度は12であった。処理していない細胞はIGF-II受容体が観察されなかった。分化誘導したC3H10T1/2のミオシン重鎖の免疫染色を行った結果,蛍光が観察され,多核化していることから骨格筋細胞に分化誘導されたと考えられる。本研究では骨格筋分化誘導過程における細胞のシグナル伝達を,AFMにより低侵襲で連続的に力学検出出来ることが明らかになった。
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