2007 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞分離技術を用いた腫瘍内がん特異的免疫細胞の遺伝子スクリーニング法の開発
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19021050
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
秋山 靖人 Shizuoka Cancer Center Research Institute, 免疫治療研究部, 部長 (70222552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 篤史 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (10367154)
清原 祥夫 静岡県立静岡がんセンター病院, 皮膚科, 部長 (70205037)
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Keywords | 1細胞蛍光検出 / 免疫細胞 / 遺伝子スクリーニング |
Research Abstract |
平成19年度は,主としてex vivoにて増幅した抗原特異的な細胞障害性T細胞(CTL)やin vitroでEB-virusにて不死化したB細胞株を使用して,1細胞レベルでの免疫細胞の検出および免疫関連遺伝子クローニング技術の精度と効率を向上させるため技術的な改良を行っている。これまでの1個のB細胞から遺伝子クローニングを行う場合,特異的なIgG抗体を持つB細胞を同定する染色法の精度とPCR法による1細胞遺伝子増幅の効率に問題点があった。まずB細胞の染色法に関しては,GST標識した組換えタンパク(全長)を抗原どしてB細胞と反応させ,その後Alexa標識抗GST抗体およびPE標識抗ヒトIgG抗体にて染色することにより,抗原特異的なヒトIgG抗体を膜表面に発現したB細胞を精度良く検出することが可能となった。次に1細胞の遺伝子増幅効率を評価する指標としてIgG抗体のFcセグメントの保存領域を標的に1細胞あたりのIgG抗体遺伝子のコピー数をリアルタイムPCR法にて定量するアッセイ系を開発した。不死化したB細胞においてIgG抗体遺伝子は,不死化していない通常のB細胞に比べて10倍以上のコピー数の増幅が確認された。これらの結果より不死化したB細胞株は,IgG抗体遺伝子クローニングに適したリソースと考えられた。 東京農工大のグループでは,上記細胞障害性T細胞やB細胞の分離・解析を行うためのデバイス作製を行っている。本年度は,1万個の微細孔を持つマイクロメッシュ基板備えたマイクロ流体デバイスを作製し,細胞分離における評価を行った。Raji細胞を用いて捕捉効率を検討した結果,最大で導入した細胞数の85%を効率的に基板上に捕捉することが可能であった。さらに,基板上に捕捉された1細胞をセルピッカーによって分離し,ハウスキーピング遺伝子(GAPDH,β-actin)を指標としてリアルタイムRT-PCRを行った。その結果,1細胞に含まれるGAPDH,及びβ-actin遺伝子のコピー数は,それぞれ約2900,1000であった。この値は既知の報告とほぼ一致しており,分離された細胞が1細胞由来であることが強く示唆された。さらに本手法を用いて,免疫関連遺伝子のコピー数を求める予定である。
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