2007 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノ構造を利用した共役ポリマーのナノ・マイクロ構造制御
Project/Area Number |
19022008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 香織 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (00361791)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 自己組織化 / ナノ材料 / 表面・界面物性 / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
ブロック共重合体薄膜を利用した共役ポリマーの超階層構造制御に向けて以下の項目を検討した。 1.ブロック共重合体薄膜内のナノシリンダー相分離(SANC)構造の基板に対する垂直配向制御を行った。垂直配向シリンダーは異方的な共役ポリマー成長における垂直チャンネル型・水平配線型のナノ反応場として捉えることができる。 2.導電性高分子のモノマーとしてチオフェンやピロールを用い、SANC内における重合の検討とSANC構造に追従する共役ポリマーナノシリンダーの作製法を検討した。シリンダーと接する基板上に選択的に表面開始剤の自己組織化単分子膜(SAM)を作製し、4-ハロピリジンのリビング重合を行った。得られるポリピリジニウムのシリンダー配向に依存した剛直主鎖の-軸配向制御の実現を目指した。 3.共役ポリマーナノシリンダー(CPNC)の電気伝導、磁気特性、円偏波吸収、トランジスタ特性における超階層構造に特異的な新現象を抽出し、そのデバイスへの応用の可能性を検討した。 具体的には、垂直配向PEOナノシリンダーを用い、ドメイン選択的共役ポリマーの複合化の確立を目指した。アゾベンゼン液晶側鎖型ポリマー(PEO-b-PMA(Az))を六方最密充填したPEOナノシリンダー構造(シリンダー径4-8 nm)を形成する標準サンプルとして用いる。電気化学セルに設置したSANC構造をもつ作用電極と対電極の間に電圧を印加した。作用電極上の親水性・イオン伝導性のPEOナノシリンダーが伝導パスとなり、印加時間の経過と共に電極配置に依存した配向構造が作製できることを確認できた。また、SANC構造をもつ薄膜は、いわば市販のマイクロチャンネルの液体回路を100万倍ダウンサイジングした物質拡散・輸送ナノチャンネルといえる。電解質又は反応溶液中への浸漬により、SANCドメイン内における拡散を駆動力とした溶質の基板表面への輸送が可能となる。SANC構造は、共役ポリマーナノシリンダー(CPNC)構造の作製における空間が規定されたナノ反応場として機能すると期待できる。従って、電極上の配向制御されたSANC薄膜を用い、ピロール・チオフェン・アニリンを含む電解質水溶液中において電解酸化を行うことにより、CPNC構造の作製が期待できる。
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