2007 Fiscal Year Annual Research Report
円盤状パイ電子化合物の超階層構造構築とその次元性の自動制御
Project/Area Number |
19022011
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太田 和親 Shinshu University, 大学院・総合工学系研究科, 教授 (70160497)
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Keywords | フタロシアニン / ディスコティック液晶 / サンドイッチ型金属錯体 / ダブルデッカー / トリプルデッカー / ホメオトロピック配向 / 配向制御 / カラムナー液晶相 |
Research Abstract |
以前,我々は周辺に8つのdialkoxyphenoxy基を置換したphthalocyanine系single-decker copper錯体(1)とphthalocyanine系double-decker lutetium錯体(2)が自発的に完壁なホメオトロピック配向を示す事を見出した。しかし,double-decker(2)は完壁なホメオトロピック配向するまでに9時間もかかった。一方,single-decker(1)は長い時間は必要ではなく,ほぼ瞬時に配向した。そこで新たに同じ置換基を持つphthalocyanine系triple-decker lutetium錯体(3)も合成し,その配向にかかる時間と階層の数との関係を調べた。その結果このtriple-decker(3)は自発的に完壁なホメオトロピック配向をほぼ瞬時に示した。そこでsingle-decker(1),double-decker(2),trip1e-decker(3)の階層の数の違いが,この配向時間の違いを引き起こしていると考えられる。1〜3の分子構造を見るとsingle-decker(1)とtriple-decker(3)のphthalocyanine(Pc)環は全て平面であるのに対し,double-decker(2)の2枚あるPc環の片方が歪んでいる。Double-deckerは,電荷が-2のPc環2枚と電荷が+3である1utetiumイオン1つから構成されている。その為電荷のアンバランスが生じる。2つのPc環のうち1つはヒュッケル則に反するのでPc環が歪み,平面性がなくなる。Pc環が平面なsingle-decker(1)とtriple-decker(3)はカラム形成が速く,瞬時に完壁な配向を作る。一方,Pc環が歪んだdouble-decker(2)はカラム形成が遅い。平面性の違いが配向にかかる時間の違いを生むと結論した。
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Research Products
(18 results)