2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規の超階層構造をもつポリオルガノホスファゼンの合成とその電子材料への応用
Project/Area Number |
19022013
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
守屋 慶一 Gifu University, 工学部, 教授 (40174461)
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Keywords | ポリオルガノホスファゼン / 超階層構造 / 高分子合成 / 誘電率 / 熱的性質 / X線回折 |
Research Abstract |
現在のところ,予備的に行った実験ではフェノキシ基をもつポリ(ビスフェノキシボスファゼン)[PN(0C_6H_5)_2]_n(PBPP)を新規カチオン重合により合成したところ,数平均分子量で3万程度となり,分子量分布は1.08程度でリビング的に反応が進行した。カチオン重合は次のようにして行った。1)オキシ塩化リンとフェノールを出発物質として,クロロベンゼン中,塩化マグネシウムを加え,室温で6時間反応させジフェニルリン酸クロリドを得る。2)得られたジフェニルリン酸クロリドにアンモニアとt-BMEを加えて-20℃で1.5時間反応させ,ジフェニルリン酸アミンを得る。3)これに五塩化リン,ジクロロベンゼンを加え,室温で6時間反応させ,モノマーのトリクロロ-N-(ジフェノキシボスホリル)モノホスファゼンを得る。得られた化合物に触媒として塩化第一錫を加え60mmHg,150℃で120時間反応させてPBPPを得た。4)このようにし耳得られたポリホスファゼンは従来のラジカル重合の溶液法に比べて,分子量も高くかつ分子量分布も狭い。また原料のPOCl_3も回収され,リサイクル可能である。PBPPの広角X線回折の結果,T(1)以上の140℃においては,11.7Aの鋭いピークと4.6Aのブロードなピークが見出された。前者はおよそ主鎖長に対応し,後者は主鎖の繰り返し単位に対応する。従って,中間相において,主鎖は乱れ,側鎖は規則的に並ぶモデルが考えられる。X線回折の結果から室温相においても側鎖の規則性の予兆が現れている。PBPPの100Hzから100kHzにわたる複素誘電率(ε')及び誘電損失(ε'')の温度変化を,Fig3(a)及びFig.3(b)に示す。100Kから270Kにわたってε'はほぼ一定の3.5であるが,温度が上昇すると,主鎖のミクロブラウン運動が励起され,ε'は分散を示しながら上昇し,310Kで3.9に達する。ε''はそれとともに極大を示す。ε''は370K付近にはT(1)に起因する折れがみられる。さらに温度が上昇して,中間相になると温度上昇とともに,周波数の逆数に依存する電気伝導の増大により,ε',ε''はいずれも増大する。
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Research Products
(4 results)