2008 Fiscal Year Annual Research Report
混合原子価状態積層化によるπ共役分子の階層構造制御と機能
Project/Area Number |
19022015
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中 建介 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (70227718)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / 有機導体 / 高分子合成 / 超分子化学 |
Research Abstract |
電荷移動錯体結晶が低次元金属的導電性を発現する要因である電荷移動相互作用を駆動力としたπ共役系有機分子の混合原子価状態積層化をπ共役系分子自己集積化の分子間相互作用とした新概念の階層構造制御法によるナノファイバー状構造体を構築するともに、得られる階層構造体の電子磁気的機能の評価を行うことで、革新的な共役系有機導電性材料を創製すること目標として研究を行った。以下に研究成果を示す。 (1)酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、パーフルオロブタン酸銀を用いてアセトニトリル中でTTFを混合させた検討を行った。いずれの場合も紫外可視吸収スペクトルよりTTFカチオンラジカルの生成が認められ、電荷移動反応の進行が認められたため、それらの溶液を基盤表面にキャストして走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、酢酸銀やトリフルオロ酢酸銀を用いた場合には結晶様構造のみが見られたが、パーフルオロブタン酸の銀塩を用いた場合のみナノファイバー状構造体が形成することが確認できた。紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける2000nm付近のブロードな吸収が観測されたことから、パーフルオロブタン酸のような立体的に嵩高い有機アニオンを用いてもTTF同士の混合原子価状態積層が達成されていることが確認できた。 (2)種々の有機アニオンを有するTTFのカチオンラジカル塩を、種々の有機酸の存在下でヨードベンゼンジアセテートをTTFと反応させることで合成し、これと中性のTTFとアセトニトリル中で種々の割合で混合し、基板上にキャストすることで混合原子価状態積層化ナノワイヤーが合成できるかの検討を行った。その結果、対アニオンとしてヘプタフルオロブチレートを用いた場合にナノファイバーの形成が認められ、このとき紫外可視近赤外吸収スペクトル測定によって混合原子価状態の形成を確認した。
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