2007 Fiscal Year Annual Research Report
共役ポリマー超階層構造のナノサイズ化による単一光子発生源の創製
Project/Area Number |
19022016
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
増尾 貞弘 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 助教 (80379073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 明 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80035071)
町田 真二郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20262032)
|
Keywords | 共役ポリマー / MEH - PPV / 単一光子 / アンチバンチング / ナノ結晶 / 単一分子 / 再沈法 |
Research Abstract |
究極の情報通信セキュリティー技術である量子暗号通信や光子を用いた量子コンピューターなどの次世代量子情報技術を確立するためには、1つずつ光子を発生させることが可能な「単一光子発生源」が必要不可欠である。本研究の目的は、発光性共役ポリマーから作製された超階層構造をナノサイズ化することにより、その単一光子発生源挙動を見出すことである。そこで今年度は以下の2つの項目について重点的に研究を行った。 1.MEH-PPV単一分子鎖の単一光子発生挙動 発光性共役ポリマーとして、分子量が異なる3種類のpoly[2-methoxy-5-(2'-ethylhexyloxy)-p-phenylenevinylene](MEH-PPV)を用いた。これらをホストポリマー薄膜中に分散させることにより単一分子鎖のコンフォメ-ションを制御し、その単一光子発生挙動と分子量およびコンフォメーション相関について検討した。分子量が小さい単一分子鎖は単一光子発生源として振る舞うが、分子量が大きくなるにつれ単一光子発生確率は減少すること、そして、分子鎖が小さく丸まったコンフォメーションを形成している場合のほうが、伸びたコンフォメーションと比べ、単一光子発生確率が高くなることがわかった。つまり、同じ分子量であっても、コンフォメーション、すなわちサイズをナノメートルスケールで制御することにより単一光子発生挙動を制御することが可能であることを見出した. 2.(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーのナノ結晶作製 この共役分子はMEH-PPVと比べ非常に小さく、そのコンフォメーションを変化させることは不可能である。そこで、複数の分子が集まってできる結晶のサイズをナノメートルスケールで制御することにより、その結晶サイズと単一光子発生挙動の相関を見出すことを目的としている。まずは再沈法と呼ばれる手法を用いてナノ結晶の作製を試みた。ナノ結晶の作製は可能であるが、そのサイズ制御はまだできておらず、さらなる検討が必要であると考える。今後は、作製手法も検討し、研究を進めていく予定である。
|