2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属ハイブリッド共役ポリマーの創製と新機能発現
Project/Area Number |
19022018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鬼塚 清孝 Osaka University, 理学研究科, 教授 (10244633)
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Keywords | 有機金属化合物 / 共役ポリマー / レドックス / らせん / 外部刺激 |
Research Abstract |
遷移金属原子間を共役系有機配位子で架橋した高分子錯体では、有機基のπ軌道と遷移金属元素のd軌道の相互作用によって多彩な構造や電子状態を生み出すことができ、新しい機能性材料の構成ユニットとして注目されている。申請者らはこれまでに様々な共役アセチレンを架橋配位子とする有機金属高分子錯体の精密合成についての系統的に検討してきた。本研究では、優れた電気化学的特性を有する遷移金属錯体とレドックス反応に伴う構造変化に柔軟に対応できるように分子設計した共役アセチレン架橋配位子を組み合わせて、新しい有機金属ハイブリッド型共役ポリマーを創出し、その特性・機能を明らかにすることを目的とする。今年度は、トリス(4-エチニルフェニル)メタノール架橋白金三核錯体を構成単位とするデンドリマーを合成し、架橋アセチレン配位子のトリチルカチオン化による有機金属共役系の構築について検討した。デンドリマーの合成には、中心から外側に向かって逐次合成するダイバージェント法を採用し、白金3核錯体である第0世代デンドリマーと白金9核錯体である第1世代デンドリヤーを単離することができた。トリフェニルメタノール部位で共役が切れているために、両デンドリマーの電子スペクトルはほぼ一致していた。架橋配位子上の水酸化物イオンを引き抜いてトリチルカチオン化すると長波長領域に新たな吸収が現れ、その吸収は第1世代デンドリマーの方がより長波長側にシフトし、白金原子あたりの吸光度も増大していた。このことから、トリチルカチオン化することによって交差共役系を構築でき、世代と共に分子内で共役系が拡張することが明らかになった。
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