2007 Fiscal Year Annual Research Report
加熱溶融法による共役ポリマー有機トランジスタの高機能化
Project/Area Number |
19022020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶井 博武 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (00324814)
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Keywords | 共役ポリマー / 有機トランジスタ / ポジチオフエン / ポリフルオレン / ゲル / 熱転写法 |
Research Abstract |
本研究では、積極的に共役ポリマーをある種の溶媒に溶解させることで徐々に流動性を失いゲル化する現象を利用してゲル状共役ポリマーを作製し、それを加熱基板上へ溶融させ、熱転写する方法による薄膜形成に関して検討を行った。特にポリマー溶液の加熱溶融状態を制御することで共役ポリマー鎖の階層的な構造制御の可能性を検討し、有機トランジスタへの応用を目指した。 ポリアルキルフルオレン(PFO)を1,2,4-トリクロロベンゼンに溶解させて作製したゲル状PFOを、まずゲル状態から溶液状態に変化する転移温度に近い75.5℃で基板に熱転写することで、ゲルを基板へ転写する挿印方向の対して垂直方向の吸収強度(I(⊥))が、平行方向の吸収強度(I(||))に比べて小さく、I(⊥)/(||)の吸収強度比が約0.85の薄膜を作製できた。AFM像から作製した薄膜の構造は、楕円状で卵形のPFO粒子(長軸:約150〜200nm,短軸:50〜75mm)が階層的に連なり、転写方向に対して向きが揃っている特長的な階層構造を有していることを見出した。また、この特徴的な階層構造により吸収強度比に差が現れた原因であると推察された。 一方、チオフェン系材料poly[5,5'-bis(3-dodecy1-2-thienyl)-2,2'-bithiophene](PQT-12)を1,2-ジクロロベンゼンや1,2,4-トリクロロベンゼンに溶解させた場合、ゲル状態(5℃)及び溶液状態(50℃)の吸収スペクトルのピーク波長は溶媒に依存しており、ソルバトクロミズム現象及びサーモクロミズム現象が見られた。これらの現象を利用してゲル状PQT-12を用いることで熱転写法にて薄膜の成膜が可能であり、その薄膜を用いたトップコンタクト型有機トランジスタ素子からトランジスタ特有の飽和特性が得られた。
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Research Products
(10 results)