2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場とスピン化学を活用した共役ポリマーの超階層構造の構築と光機能特性の磁場制御
Project/Area Number |
19022027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米村 弘明 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (40220769)
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Keywords | 強磁場 / スピン化学 / 共役ポリマー / カーボンナノチュープ / 金ナノロッド / 磁場配向 / 表面プラズモン / 偏光吸収スペクトル |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)の物性は構造に由来した異方性を示すため、その応用において構造制御が重要であり、我々も強磁場を用いたCNTと共役ポリマーの複合体の磁場配向が報告した。同様に、金ナノロッド(AuNR)も物性として電子的特徴・異方性を有している。特に、AuNRの吸収スペクトルには、長軸方向と短軸方向の表面プラズモンバンドを持つ事が知られている。これまでにAuNRの配向は延伸方法等で報告されているが、しかしながら磁場配向は報告されていない。そこで、静電相互作用とポリマーラッピングの手法を用いて単層カーボンナノチューブ(SWNT)とAuNRの複合体を作製し、乾燥過程における磁場印加によって、単独では配向しないAuNRの磁場配向を試みた。 切断したSWNTをポリマーラッピングと静電相互作用を利用してAuNR/PSS/SWNT複合体を作製した。吸収スペクトル、AFM、SEM、TEM像により、AuNR/PSS/SWNT複合体の形成を確認した。さらに、複合体溶液をガラス基板に滴下し、乾燥させる際に基板に対し平行に磁場を印加した場合と無磁場の場合の比較を行った。基板の偏光吸収スペクトル測定より、磁場を印加していない基板では平行偏光と垂直偏光を用いた時にはAuNRの短軸及び長軸の表面プラズモン(SP)由来のバンドの吸収は一致した。これに対して、磁場印加した基板では、磁場に対して平行の偏光を用いた場合のAuNR長軸由来のSP(-980nm)の吸光度が垂直の偏光の場合よりも大きくなった。一方、垂直の偏光の場合のAuNR短軸由来のSPのピーク(〜510nm)の吸光度が平行の偏光の場合よりも大きくなった。以上により、SWNTとの複合化により我々は、AuNRの磁場配向をはじめて達成した。今後、スピン化学についても検討するつもりである。
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