2007 Fiscal Year Annual Research Report
固相重合による可溶性ポリジアセチレンの合成と構造ダイナミクス
Project/Area Number |
19022032
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 章一 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (00183616)
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Keywords | 固相重合 / 有機固体化学 / トポケミカル重合 / 単結晶構造解析 / ラジカル重合 / サーモクロミズ / 共役高分子 / 有機結晶 |
Research Abstract |
固相重合では,結晶中での分子配列設計と反応制御によって,通常の溶液中での反応と異なる機構や経路での反応が進行し,ポリマーの一次構造と高次構造を同時に制御しながら高分子結晶を得ることができる。本研究では共役ポリマーであるポリジアセチレン(PDA)の構造制御と新たな機能発現に向けた研究を行った。まず,PDAの側鎖に長鎖アルキル基とベンジルエステル基を導入し,側鎖置換基間の相互作用を小さくすることにより,有機溶媒に可溶な新規PDAを合成し,PDA溶液の温度や混合溶媒組成を変えると紫外可視領域の吸収波長が可逆的に変化するソルバトクロミズムやサーモクロミズムを示す系を見出した。次に,側鎖に長鎖アルキル基とカルボン酸ナフチルメチルアンモニウム塩構造を導入したPDAを化合物として選び,分子構造と固体中でのクロミズム挙動の関係を検討した結果,ポリマー主鎖とカルボン酸置換基の間にスペーサーを持たず,カルボン酸アンモニウムが形成する強固な2D水素結合ネットワークに沿ってすぐ隣に共役系が配列するPDAでは,その層間距離はアルキル置換基の炭素数に比例して変化することを確認した。このとき,共役系の最大吸波長は大きく変化し,その変化には偶奇効果が見られた。上記PDAが室温から100℃付近の広い温度範囲でサーモクロミズムを示す一方で,共役主鎖と2D水素結合ネットワークの間にアルキルスペーサーを含むタイプのPDAでは,ごく狭い範囲でのみ可逆な色調変化を示し,高温域まで加熱したポリマーの色調は室温に冷却後も元には戻らないことを見出した。このように,水素結合ネットワークの位置に応じて,アルキル側鎖が融解したときの主鎖共役系のランダム性に大きな違いが生じ,可逆的な構造変化が可能な温度範囲に著しく差が生じることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)