2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19022033
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 二朗 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 准教授 (70211703)
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Keywords | 高分子合成 / 光スイッチ / 光物性 / 電子・電気材料 / 半導体物性 |
Research Abstract |
われわれは有機フォトクロミック化合物のヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)の研究を進めていく過程で、分子内に二つのイミダゾリル部位を有するBDPI-2Yが特異な電子構造を有することを見いだした。 BDPI-2Yは、基底状態付近にエネルギー準位が近接した開殻一重項ビラジカル状態と閉殻一重項キノイド状態が存在し、三重項ビラジカル状態がそれよりも高いエネルギー準位に存在している。これまでに、π電子が非局在化した一重項開殻ビラジカル状態の物性化学に関しては十分な研究がなされておらず、新たなパラダイムに差し掛かっているが、そのパラダイムシフトを実現するためには一重項開殻ビラジカル化合物に関する知見を集約し、新たな物性発現に向けた研究を推進する必要がある。一方、これまでに報告されているラジカルポリマーの大多数は高分子側鎖にラジカル部位を導入したものであり、共役主鎖に不対電子を配しかラジカルポリマーの合成例は数少ない。平成19年度には、開殻電子構造の特徴であるビラジカル性を有するBDPI-2Yに着目し、BDPI-2Yをモノマーユニットとするπ共役ビラジカルポリマー(poly-BDPI-2Y)の合成と、その機能開拓に向けた研究を推進した。BDPI-2Yでは600 nm付近に吸収帯が見られるが、poly-BDPI-2Yは700 nm付近に幅広い吸収極大を有し、その吸収端は1200 nmにまで及ぶ濃青色粉末として得られ、強いESRシグナルを示すラジカルポリマーであることが確認された。 poly-BDPI-2Yは有機溶媒に可溶であり、ベンゼン溶液からスピンコートすることにより、ガラス基板上に良質なポリマー薄膜を形成することができた。次年度以降は、これらの粉末および薄膜の磁気特性、半導体特性、非線形光学特性などについて検討を行う。
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