2007 Fiscal Year Annual Research Report
チエニルポルフィリン類を用いた共役ポリマーの拡張と新機能の開拓
Project/Area Number |
19022035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小柳津 研一 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (90277822)
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Keywords | ポルフィリン / ポリチオフェン / レドックスポリマー / 配向 / 超臨界二酸化炭素 / 就職電極 / スーパーオキシドアニオン / 酵素還元 |
Research Abstract |
レドックスポリマーのレドックス特性とバルク構造の相関を明らかにし、高効率な電極触媒や電荷貯蔵材料として確立することを目的とする。ポルフィリンをレドックスサイトに有する共役系高分子錯体に関する従来知見を拡張し、共役系および非共役系主鎖にペンダント結合させた一連のレドックスポりマーを合成した。主鎖に沿った機能ユニットの配向が無秩序から規則配列まで階層的に制御された一連の機能性高分子を創出し、物質移動が顕著に促進される超臨界二酸化炭素(scCO_2)中での電解重合も活用しながら、精密な積層膜からなる超格子を構築した。これらを用いて、主鎖の高次構造がレドックス活性を支配していることを明確にし、高効率な燃料電池正極触媒、スーパーオキシドアニオン検出電極などとして確立した。さらに、ペンダント基を幅広く拡張し、主鎖にレドックス中心が組み込まれた構造も含め、速いイオン移動を特徴とする斬新な電子貯蔵・輸送材料へと展開している。以下に具体的に記す。 (1)チエニルポルフィリン類の拡張 金属ポルフィリンをレドックス部位とする共役ポリマーの単量体として、チエニルポルフィリン類を合成し、種々の中心金属を導入した。既に手掛かりを得ている5-(3-チエニル)-10,15,20-トリエチルポルフィリンの亜鉛、鉄およびコバルト錯体を手始めとして、アルキル鎖長を変えた誘導体に拡張し、溶媒に対する溶解度や酸化電位などを正確に把握した。次いで化学酸化重合による生成物の分子量からモノマーの反応性を評価した。立体規制されたポリマーを得る反応条件を把握し、ポルフィリン配向度をスペクトルなどから実証した。さらに、ポルフィリン環同士の立体障害が緩和された共重合体を、対応するモノマーとの酸化共重合により合成し、立体規則性を保ちながらポルフィリン環の配向度が制御された一連の誘導体を得た。これらのUV-vis.および蛍光スペクトルからポルフィリン環の整列度を解析し、成膜性と導電性を併せ持つ配向ポルフィリン集積体として確立した (2)電極触媒としての機能開拓 合成されたレドックスポリマーおよびそのモデル化合物のレドックス特性を、各種電気化学測定により明らかにした。電極との標準電子移動速度定数、酸化・還元状態での安定度、酸化還元電位等を正確に把握した。次いで、1-メチルイミダゾール(im)存在下で得られる電解重合膜修飾電極が、スーパーオキシドアニ、緻密・平滑な膜が得られ、検出感度が20倍程度向上した。また、カーボンブラック分散液とコバルトを中心金属とするチエニルポルフィリンを用いて流動床電解重合により得られる触媒は、酸素還元触媒として高い活性を示し(E_<1/2>(O_2)=0.57VvsSCE(=0.81VvsNHE))、ほぼ100%選択度で4電子還元が可能となった(2 電子還元による過酸化水素の副生なし)。
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Research Products
(6 results)