2007 Fiscal Year Annual Research Report
特異な電子・光物性を有する共役ポリマーにおける振電効果の役割に関する理論的解析
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19022037
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
加藤 貴 Nagasaki Institute of Applied Science, 大学院・工学研究科, 准教授 (10399214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山邊 時雄 長崎総合科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80025965)
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Keywords | 反磁性環電流 / (4n+2)_<π>電子系 / 室温超伝導 / 振電相互作用 / MOVE法 / 光照射-雷子励起状態 / C-C伸縮振動モード |
Research Abstract |
1. π共役系炭化水素分子における反磁性環電流発現機構の解明 ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン等、(4n+2)π電子系ポリアセンにおいて、外部磁場を付加すると反磁性環電流が誘起されることは、100年近く前から知られているが、なぜ反磁性環電流が誘起されるのかその理由は解明されていない。このことを踏まえ、(4n+2)_<π>電子系ポリアセンにおいて反磁性環電流が誘起されるメカニズムを理論的に提案した。また固体における超伝導性と、一分子内における反磁性環電流の関連性と相違を指摘し、超伝導性に関して、BCS理論のみでは説明できない系における、より普遍的な理論を提案した。この理論を基に、室温超伝導設計指針を、従来の方針とは全く異なる視点で提案した。 2.光励起超伝導発現の理論的提案 我々自身が開発した振電相互作用の性質を見積もる計算プログラムであるMOVC法を用い、(4n+2)π電子系ポリマーにおける光励起超伝導発現の理論的提案を行った。最高被占軌道(HOMO)から最低空軌道(LUMO)への一電子励起状態における振電相互作用結合定数は、モノアニオンやモノカチオンにおける振電相互作用結合定数よりはるかに大きいことを示し、その理由を解析した。通常の(4n+2)_<π>電子系ポリマーにおいてはHOMOとLUMOの位相様式が正反対であるため、C-C伸縮振動モードに沿って原子核を変位させていくと、HOMOが安定化(不安定化)する時、LUMOが不安定化(安定化)する。このことが一電子励起状態における振電相互作用結合定数が、モノアニオンやモノカチオンにおける振電相互作用結合定数よりはるかに大きい理由であることを示した。またこのことから電子ドーピングやホールドーピングよりも光照射による一電子励起が高温超伝導を探る上で(原理的には)有効的な方法であることを提案した。
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Research Products
(5 results)