2007 Fiscal Year Annual Research Report
メソフェーズ系電子材料における分子の動的階層秩序制御と電荷輸送機能に関する研究
Project/Area Number |
19022039
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 洋 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40357223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
物部 浩達 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (10344178)
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Keywords | 自己組織化 / 超分子化学 / 半導体物性 / ナノ材料 / 有機太陽電池 / 液晶性半導体 / 電荷移動度 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
π電子共役系を分子中心に有するディスコチヅク液晶は高速の電荷移動度を示しうる液晶性半導体として近年の有機エレクトロニクス研究の一つの興味深いカテゴリーとして活発に研究されている。このディスコチック液晶性半導体について,昨年に引続きμ-オキソ2量体の電荷移動度の挙動解明を行なうとともに電荷移動の高速化に向けたカラム構造の制御を目的とした新規フタロシアニン化合物の合成と液晶性の解明を行なった。また,新たに静電的相互作用導入による効果を検討するためイミダゾリウム塩を骨格に含む棒状液晶を用いてTime-of-Flight(TOF)法による電荷移動度の評価を試みた。フタロシアニンケイ素錯体のμオキソダイマー液晶の自発的配向挙動と電荷移動度の検討では,概ねホメオトロピック配向を取る自発的配向性を示し,それに対する電荷移動度は液晶性半導体に特徴的な温度に対してほぼ一定の温度特性を示すとともにそのオーダーは10^<-3>10^<-4>cm^2V^<-1>s^<-1>でμ配位子の形と相互作用に対する依存性を見出した。新規化合物系では,新たにフタロシアニンの8本の周辺側鎖中にペルフルオロアルキル基を導入した系を合成,それらがフルオロアルキル鎖に依存する液晶性を示すことを見出した。これは昨年度検討の同トリフェニレン系とは異なる挙動であり,また相当するフタロシアニンアルコキシ鎖誘導体とも異なる液晶性として注目される。更に,静電的相互作用の効果を今後検討する上で,系内にイオン性部位を持つ液晶性化合物の電荷移動度計測の可否について検討を行った結果,系内にイミダゾリウム塩を含む棒状液晶系で,イオン性部位を含む場合であっても比較的良好な過渡光電流波形が得られ,その電荷移動度はスメクチックA相において10^<-3>cm^2V^<-1>s^<-1>に及ぶ高速電荷移動度が観測されることを見出した。これはイミダゾリウム塩を含む化合物の最初の電荷移動度計測結果であり,イミダゾリウム塩そのものとの関係について興味が持たれる。
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Research Products
(25 results)