2008 Fiscal Year Annual Research Report
メソフェーズ系電子材料における分子の動的階層秩序制御と電荷輸送機能に関する研究
Project/Area Number |
19022039
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 洋 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40357223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
物部 浩達 独立行政法人 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (10344178)
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Keywords | 自己組織化 / 超分子化学 / 半導体物性 / ナノ材料 / 有機太陽電池 / 液晶性半導体 / 電荷移動度 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
π電子共役系を分子中心に有するディスコチック液晶は高速の電荷移動度を示しうる液晶性半導体として近年の有機エレクトロニクス研究の一つの興味深いカテゴリーとして活発に研究されている。このディスコチック液晶性半導体について、新たに電荷移動の高速化に向けたカラム構造の制御を目的とした新規フタロシアニン化合物の合成と液晶性の解明を行なった。また、新たに静電的相互作用導入による効果を検討するためイミダゾリウム塩を骨格に含む棒状液晶を用いてTime-Of-Flight(TOF)法による電荷移動度の評価及びそのモデルとなる液晶性イミダゾリウム塩を合成、その電荷移動挙動の解明を試みた。 フタロシアニンの8本の周辺側鎖中にペルフルオロアルキル基を導入した系は、電荷移動度計測の為相当量の合成を行ない、その精製を行なった。これらの化合物サンドイッチ型セルに対するTOF法という点では透明点が高すぎることから熱プレス法によるセル作製をこころみたがドメインが一様にできる状況は困難で結果として電荷移動度を算出できる過渡光電流波形が得られなかったものの電子物性測定に必要な純度に精製する手法は確立できた。更に、液晶性半導体における静電的相互作用の効果を検討する上で、系内にイオン性部位を持つ液晶性化合物としてイミダゾリウム塩を含む棒状液晶系のTOF法による電荷移動度を実施したが、加えて電極界面での電気化学的反応を抑えた条件での測定を行なうためのブロッキング層を有する新たなセルを試作、単純な液晶性長鎖アルキルイミダゾリウム塩をモデル化合物として電荷移動度の計測を実施、10^<-5>cm^2V^<-1>s^<-1>オーダーのイオン伝導的移動度を得たことから先の液晶系で観測された10^<-3>cm^2V^<-1>s^<-1>オーダーの高速電荷移動度は電子的キャリヤ輸送にフェニル基が関与していることを示した。また、新たにn型半導体として期待されるトリシクロキナゾリン液晶のカラムナー相について電荷移動度の計測に成功、本材料がn型ディスコチック液晶系有機半導体では最速の10^<-2>cm^2V^<-1>s^<-1>オーダーの電子移動度を示すだけでなく、同時に同程度のホール移動度を持つ両極性半導体であることも見いだした。
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Research Products
(20 results)