2007 Fiscal Year Annual Research Report
分散表現と自律ダイナミクスに基づく人間の情報処理の計算モデル
Project/Area Number |
19024010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 昌彦 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (00222349)
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Keywords | 力学系 / 軌道アトラクタ / 選択的不感化 / 神経回路モデル / 関数近似 / 強化学習 |
Research Abstract |
現在のIT社会は,情報選択能力や学習・適応能力など,人間の高度かつ柔軟な知能に大きく頼っていため,これからの情報爆発時代においては深刻なデジタル・デバイドをもたらすと考えられる.これを避けためには,人間のような柔軟な知能や人間の情報処理のモデルをもち,人間の情報処理を自然にサポートできるシステムが必要である.本研究の目的は,こうした「人間と相性の良い」知的情報処理システムの実現に向けて,人間の優れた知能の源だと考えられる分散表現と自律ダイナミクスを利用した情報処理モデルを構築することである.本年度の主な研究成果は以下の通りである. 1.複数の力学系の相互作用を利用した情報処理:昨年度報告した相互動的不感化モデルの簡単な応用例として,2本のアームからなるロボットを作成し,各アームの状態を相互作用する二つの神経力学系の状態にそれぞれ対応づけて制御を行った.その結果,両アームを協調的に動作させるだけでなく,一方が止められていると他方がそれを補うといった機能が実現された. 2.選択的不感化原理の妥当性の検証:以前この原理に基づいて提唱した視覚情報処理に関する2属性仮説について,新たな検証実験を計画して予備実験を実施した.その結果,3つの属性からなる図形を左右の眼に次々に提示すると,2属性仮説から予想されるように,一度も提示されない図形が知覚されることなどを確認した. 3.選択的不感化ニューラルネットによる非線形多変数関数近似とその応用:選択的不感化ニューラルネットを3変数以上の関数近似が可能になるように拡張した.また,これを強化学習の価値関数の近似器として用いる、ことにより,学習効率が大幅に向上する可能性があることを示した.
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Research Products
(4 results)