Research Abstract |
本研究では, 大規模次元で表わされる状態が時間的に変化する対象系を観測したデータから, 対象の状態遷移規則を表す知識体系とそれを理解支援する技術を確立し, ICチップなどによる商業用物流・人間移動のユビキタス追跡分析・監視システムを実現する基礎原理を得ることを目的とした. 今年度は, 前年度の手法適用を通じて問題が明らかになった,(1)個々の状態遷移規則同士の因果関係が従うべき数理的, 確率的, 物理的制約を用い, 対象の有意味な状態遷移に関する知識体系を同定する技術の開発, 及び(2)そこから特定部分状態関係を含む状態遷移規則やその規則同士の特徴的関係を把握する技術の問題点を克服する改良, 拡張に取り組んだ. 前者に関しては対象システムが取る可能性のある多くの状態候補を計算し, それら状態を確率的に統合して対象の状態とその状態遷移を推定する原理が, 特に大規模次元状態空間内で高精度, 高効率に動作する技術を開発した. 後者については, 更に特に実状態である可能性の高い状態を導く特徴的な遷移を把握し, 結果の理解容易性と同時で状態推定精度を高める方法を開発した. 以上のために, 大阪大学の研究代表者(鷲尾)と関西大学の連携研究者(矢田)間の定期的検討会を持って緊密に連携し, 更に改良・拡張した手法を実データに適用して, 大規模変数次元時系列観測データのダイナミクスに関して総合的な知識体系を得, そのユーザー理解支援を十分に実現可能な技術改良, 拡張を行った. また, この研究過程において, 2名の大阪大学産業科学研究所の研究者(大原, 猪口)から, 主にデータ処理や実験検証の面で連携研究者として協力を得た.
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