Research Abstract |
本研究では,人工物に関する基盤的なオントロジーを核とした工業製品関連知識の融合と,オープンな相互運用性の実現を目指した。平成19年度においては,まず,オントロジー開発環境「法造」を用いて,人工物プロセスオントロジーの厳密な定義付け(定式化)を行った(実施計画項目1).プロセスの間に成り立つ関係とそれに基づいたロール概念を定式化することで,さまざまなプロセスの実例の記述(項目2)を行い,プロセス実例をそれらの定式化上で類別,分類,体系化した(項目3),これにより,プロセスの多面的な側面を動的に捉える理論を構築した(項目4).これらの理論に基づいて統合プロセスモデリングシステムを実装し,プロセスの特定側面を動的にとらえるモデルナビゲーション機能を開発した(項目5).さらに,本年度では,特に,計画項目6である,他の概念体系との相互運用システムの実現に関して大きな成果があった.まず,他の機能概念体系とのマッピング(対応づけ)に必要な知識の種類を同定し,次に,実際にアメリカで開発された Functional Basisと我々が開発した機能語彙体系とのマッピング知識を記述した.その結果,両者のオントロジー的違いやFunctional Basisのオントロジー的不均一性などが明らかになった.しかし,機能に関する参照オントロジーに基づいてそのようなオントロジー的な違いを乗り越える枠組みを構築し,また,独立して開発された概念体系のアラインメント結果としては高いマッピング率が得られた.また,記述されたマッピング知識を用いて,情報学研究で開発した「機能メタデータに基づく技術ドキュメント検索システム」を拡張し,他の概念体系との相互運用システムのプロトタイプを実装した.これにより研究目的のひとつであるオープンな相互運用性の実現に大きく貢献した.
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