2007 Fiscal Year Annual Research Report
粒内高密度転位配列による結晶粒微細化を必要としない新たな巨大ひずみ材強化法の確立
Project/Area Number |
19025001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 真由美 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 助教 (20292245)
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Keywords | マグネシウム合金 / アルミニウム / 多軸鍛造法 / 再結晶 / 結晶粒微細化 / 双晶 / 動的回復 / 粒内高密度転位 |
Research Abstract |
特定領域共通試料である純度の異なるアルミニウム金属およびマグネシウム合金に対し,形状不変プロセスの一種である多軸鍛造を種々の条件で室温下で行い,負荷ひずみ量の増加に伴う流動応力変化および組織変化を調査した.アルミニウムの多軸鍛造に伴う流動応力や組織の変化は純度に大きく依存する.これはARBやECAP等の他の形状不変加エプロセスの結果と同様の結果である.特に純度が5Nを越える場合は室温で著しい静的再結晶挙動を示す.一方,純度が低い(2N)の場合は,再結晶挙動は認められなかったが,鍛造中に大きな流動応力の低下が認められた.このような現象はCu等の低積層欠陥エネルギー材では認められておらおらず,積層欠陥エネルギーが高く,交差すべりによる回復(転位の合一消滅)が可能な材料の場合,応力軸の変化に伴って強度が低下する傾向があることがわかった.また,アルミニウムの多軸鍛造の場合は,他の形状加工プロセスよりも微細粒形成が遅れる傾向があり,この現象も応力負荷方向の変化と関連する可能性がある. 一方,アルミニウムと比べ,大きく加工性の劣るマグネシウム合金Mg-Y過飽和固溶体に対して上記と同様に室温で多軸鍛造を行った結果,一軸圧縮に比べ,5倍程度の累積ひずみを付加出来ることがわかった.このことは難加工材の巨大ひずみ付加方法として,多軸鍛造法は有力な方法であることを示唆している.また,加工組織内には双晶とともに非底面上に高密度の転位が導入されており,室温での多軸鍛造と熱処理を組み合わせることで,粒内に非底面上高密度転位を導入出来る可能性があることがわかった.
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