2007 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅法を用いた巨大ひずみ材料中の高密度格子欠陥の分類と定量化
Project/Area Number |
19025008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 秀樹 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20202749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 泰治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20154354)
水野 正隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50324801)
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Keywords | 陽電子 / 陽電子寿命 / 巨大ひずみ / 繰り返し重ね接合圧延 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
繰り返し重ね接合圧延(Accumulative Roll Bonding)加工は形状不変加工のひとつであり、試料に巨大ひずみを与え、高密度の格子欠陥が導入し、組織をサブミクロン程度にまで微細化できることが知られている。そこで、本研究では、純アルミニウムに繰り返し重ね接合圧延加工を施し、導入される高密度格子欠陥の種類とその濃度を、陽電子寿命法で測定した。試料中に入射させた陽電子は、試料中に空孔型格子欠陥が存在すると、そこに捕獲されて長い寿命値を示すため、繰り返し重ね接合圧延加工を施された試料の陽電子寿命を測定することにより、試料中に導入された格子欠陥の情報を高感度に捉えることができる。試料の純度は99.99%、繰り返し重ね接合圧延加工は、室温、潤滑条件で、1サイクルあたり相当圧下ひずみ0.8にて最大6サイクルまで行った。陽電子寿命測定は、室温で22Na線源を用いて行い、陽電子寿命スペクトルはPositronfit Extendedを用いて解析した。試料のアルミニウムに繰り返し重ね接合圧延加工1サイクルを加えると陽電子平均寿命は2.2×10^<-10>秒まで上昇した。これは、繰り返し重ね接合圧延加工により導入された転位と空孔に捕獲される陽電子が現れ、それらが長い寿命を示すためである。6サイクルまで繰り返し重ね接合圧延処理を施すと、試料中の空孔の濃度はさらに上昇し、空孔中で消滅する陽電子の確率が増加するため、陽電子平均寿命はさらに長くなり2.3×10^<-l0>秒に達した。これらの結果は、繰り返し重ね接合圧延加工中に導入された格子欠陥の情報を、陽電子寿命測定により抽出できることを示している。
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Research Products
(1 results)