2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19025012
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
井 誠一郎 Sojo University, 工学部, 助教 (60435146)
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Keywords | 巨大ひずみ / ARB / 透過型電子顕微鏡 / 高分解能電子顕微鏡 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
多結晶金属材料に形状不変加工プロセスを用いて巨大ひずみを付与することで,結晶粒径は必然的に微細化される.微細化された多結晶材料において,その結晶粒径がサブミクロンに到達すると結晶粒径の微細化に伴い結晶粒界の割合が飛躍的に大きくなるため,粒界構造を調査することが重要である.本研究では,繰り返し重ね圧延接合法(ARB)を施した超微細粒工業用純アルミニウム(1100AI)の微細組織を透過型電子顕微鏡(TEM)および高分解能電子顕微鏡(HREM)観察し,その粒界構造を調査することを目的としている.本年度は,特に粒界原子構造に着目し,その構造解析を行った.ARB材において観察された結晶粒は,圧延方向に伸長したラメラ上の特徴的な組織であり,そのラメラ幅は約200nmであった.ARB材の粒界のうち,圧延方向に平行な粒界面を有するLamellar boundaryをHREM観察し,その粒界近傍の原子配列を詳細に検討したところ,本研究で観察された<110>を共通回転軸とした傾角2θ=125.9°の粒界は,カイト状の構造ユニットで構成されていることを明らかにした.併せて,バーガースベクトルb=a/2<110>の刃状転位が,一定の周期で粒界に存在することも確認した.このカイト状構造ユニットは,FCC金属の共通回転軸が[110]である対称傾角粒界において2θ=129.5°のΣ11対応粒界を構成する基本構造ユニットであることが理論計算によって明らかにされており,Σ11対応粒界の傾角と実験的に求められた粒界の方位差のずれを考慮することにより,理論的に予測される転位間隔と実験的に得られたそれと良い一致を示したことから,超微細粒1100AIの粒界構造も粗大粒材料と同様に説明できる可能性が高いことがわかった.しかしながら,観察された粒界の構造ユニットは,ユニット毎にひずんでおり,これは超微細粒材料における粒界構造の特徴の一つであることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)