2007 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液を反応場とする近距離金属相乗効果系化合物の自律的形成と発光機能制御
Project/Area Number |
19027007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
壹岐 伸彦 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (50282108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸橋 直弥 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (70344819)
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Keywords | 元素相乗系化合物 / 超分子 / 発光機能 / テレビウム / 銀 / 長寿命発光 / 発光量子収率 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
チアカリックスアレーン(TCAS)を配位子として用い,水溶液系での元素相乗系化合物を創製し,光物理特性を明ちかにした.Ag^I-Tb^<III>-TCAS三元系について水-DMF系から錯体Ag^I4-Tb^<III>-TCAS_2(Na_9[Ag^I_4Tb^<III>[tcas^<8->)_2]・dmf_8(H_20)_6の単結晶を得た.結晶構造解析の結果,本錯体は二つのTCASが4重のS-Ag-S架橋により結ばれたdouble-cone形状をとることを明らかにした.錯体はTb^<III>に対称心を持つが,大まかにはTCASの中心を軸とするC_4対称をとる.TCAS骨格はわずかに歪んだconeコンホメーションを取っており,その疎水空孔にDMF(4)を包接する.Tb^<III>は計8個のフェノール酸素で構成される8配位立方体構造を持つ.特筆すべきはTb^<III>は配位水分子を持たないことである.これは励起Tb^<III>からOH振動子へのエネルギー移動による緩和を防止する上で重要な配位環境である.合成的にこのような配位環境を作り出すことは難しく,TCASとAg^Iとの混合により各構成要素が相乗的に作用し,超分子構造を組み上げるアプローチが奏功したといえる.なおAg^I_4・Tb^<III>コアにおいてAg^I-Tb^<III>距離はそれぞれ3.3233,3.2383Åであり,直接的な相互作用は認められなかった.単離した単結晶錯体の発光量子収率は20%程度であったが,結晶サイズが小さくなるにつれ減少した(21〜17%).また^5D_4→^7F_5遷移帯の形状の変化が観測され,Tb中心の対象性の差異が示唆された.発光寿命は2msであった.
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