2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19027028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (60332730)
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Keywords | 光学活性高分子 / リン原子 / 金属配位 / 不斉 / 高次構造 |
Research Abstract |
天然高分子の多くは不斉炭素を骨格に有する光学活性ポリマーであり、それらが織り成す高次構造が高度な機能に大きく影響している。近年、不斉反応の繰り返しによる光学活性ポリマーの合成や、一方向巻きらせんに代表されるポリマーの高次構造を制御する研究が盛んに行われているが、ポリマー主鎖に不斉ヘテロ原子を有する光学活性ポリマーの合成例はほとんど報告されていない。特に、本研究でとりあげる不斉リン原子を有するポリマーの合成例は皆無である。 そのような中、我々は不斉リン原子を2個有する化合物(S,S)-1に着目し、(S,S)-1をビルディングブロックとして用いることで、主鎖に不斉リン原子を含む新規光学活性ポリマーならびにデンドリマーを合成することを目的として検討を行ってきた。本年度の研究では、その過程において、(S,S)-1を段階的に反応させていくことにより、不斉リン原子を4,6,8,12個有する光学活性オリゴマーならびに環状化合物をそれぞれ合成単離することに成功した。 不斉リン原子を4個有するオリゴマーが低分子としての性質を示すのに対し、不斉リン原子を6個有するオリゴマーは低分子アモルファスとして挙動し、不斉リン原子を8個以上有するオリゴマーはポリマーとしての性質を示すことが明らかになった。 また、(S,S)-1に対して2.2当量のsec-BuLiを用いて反応を行うことにより、(S,S)-1が分子内環化したtrans体の6員環化合物が良好な収率で得られた。これまでに六員環ビスホスフィンのcisおよびtrans体を立体選択的に作り分けた例は無く、本手法によりtrans体を立体特異的に合成することが可能となった。ビスホスフィンtrans-4はキレート配位子としての利用や、遷移金属配位による三次元ネットワーク構造を構築する上で有力なビルディングブロックとして期待できる。
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Research Products
(9 results)